届かない想い
ー私は今日初めて白百合の会に参加する事になった…
『真冬…今日ちょっと用事があって…』
『(やはり麗奈も会議にでるのか…)』
『麗奈。心配するな。あと少しで終わるから先に帰って良いぞ。』
嘘だった。朝早めに来て、いつ会議があっても良いように生徒会の仕事はいつもこの時間になればもう終わっていた…
『うん。ありがと!じゃあまたね。』
『また…』
今日私は麗奈に打ち明ける…
麗奈を見送ったあと、ノートに書いてあった通りバスに乗り、タクシーを乗り継いで会場に着いた。
高級マンションの12階の大ホール…
『(こんな所でやるのか…)』
会場の中は薄暗く一瞬足がすくんでしまったが、麗奈の姿を見つけた私はそっと後を追っていた…
しばらくしてアナウンスが流れた。
『時間になりましたので初めさせていただきます。』
『今回の議題は…
『(周りが集中してる今しかない)』
真冬は麗奈の隣に近づき麗奈の袖を軽く2回引いた。
『真…
そしてすぐに麗奈の口を塞いだ。
『シッ明日の朝話す。いつもの駅で待っていてくれ。』
それだけ伝えると2人は無言になり、時は流れていった…
次の日の早朝、麗奈は駅に早く着いていた…
『(なんで真冬まで…)』
待っていると遠くから声が聞こえてきた…
ふと目を向けると見覚えのあるロングボブの少女が居た。
『(あの子だ…)』
駆け寄ろうとした時、急に腕を掴まれた。
『麗奈、待って。』
振り向くと真冬が居た。
『こっち。』
そう言って隠れるように促した…
そして気づいた…
『うそ……』
『やめて…』
麗奈は駆け寄ろうとするが真冬に引き留められる。
『離して…』
『ダメだ!』
『離せ!!』
初めて聞く麗奈の怒鳴り声…
その瞬間――
パシンッ、と乾いた音が響いた。
空気が、一瞬で凍りつく。
『……っ』
頬を押さえ、麗奈が言葉を失う。
『なんでわからないのよ!!』
静かなホームがざわめいた。
『喧嘩?』
『あの制服…精蓮学園の…』
気づくと2人に注目が集まっていた…
『(気づかれてしまった…)』
次の瞬間真冬は麗奈の腕を引き寄せ小声で囁いた…
『麗奈、落ち着いて聞いて。』
麗奈は頷く。
『今あなたが行ったら……』
真冬は制服の金色に光る刺繍に触れた
『精蓮学園の生徒会長が行けば、あの子はもっと酷い目にあうんだ…』
『じゃあ私は…どうしたら……』
麗奈の瞳から大粒の涙が溢れた…
『助けてくれたの………生徒会長就任の朝…』
そこで私は初めて気づいた…
麗奈はあの子の事をずっと…
『助けたいのか?』
『私は…あの子を守りたい…』
『痛かっただろう…すまない…麗奈の気持ちはわかった…私に考えがある。』
そう言って持っていたミネラルウォーターでハンカチを濡らし、麗奈の頬に当てた。
その時の真冬は、何かを決心したように見えた…




