■第67話:接触
最初にぶつかったのは。
小さな部隊だった。
国境付近。
偶然ではない。
必然だった。
■アストリア前衛部隊
「……反応あり」
魔術士が目を細める。
「距離、三百」
「敵性確認」
一拍。
「排除」
詠唱が走る。
正確。
無駄がない。
■グラディウス先遣隊
「来たか」
兵が笑う。
「潰す」
それだけ。
突撃。
一直線。
接触。
一瞬。
光が走る。
衝撃。
爆発。
そして。
止まった。
「……?」
魔術士が眉をひそめる。
「命中はした」
一拍。
「だが」
違和感。
「……遅い?」
グラディウス兵も止まる。
「なんだこれ」
踏み込みが。
ズレる。
力が。
乗らない。
「……おかしい」
誰かが呟く。
その瞬間。
崩れた。
隊列が。
呼吸が。
すべてが。
「……退け!」
命令が飛ぶ。
だが。
遅い。
すでに。
“合っていない”。
■中規模国家(ベルグラード観測隊)
「……何だあれは」
兵が息を呑む。
「戦闘……なのか?」
一拍。
「違う」
観測官が低く言う。
「崩れている」
戦いではない。
成立していない。
「……原因は」
一拍。
「不明」
だが。
理解する。
「……関わるな」
それだけは。
確実だった。
■レグナス
「……始まったな」
カインが呟く。
「おい」
バルガスが笑う。
「まだ小競り合いだぞ?」
一拍。
「関係ない」
静かな声。
「同じだ」
「全部」
視線は前。
「揃えば」
「終わる」
短い断定。
最初の接触。
小さな衝突。
だが。
そこには。
すでに。
“異常”があった。
そして。
それは。
広がる。




