■第65話:次の標的
動いたのは。
沈黙の後だった。
バルザーンの敗北。
その衝撃が。
ようやく。
“判断”に変わる。
■アストリア魔導皇国
「……静観は終わりよ」
リシェル・アストリアは微笑む。
「解析は十分」
一拍。
「仮説は三つ」
指を立てる。
「構造操作」
「情報撹乱」
「未知の干渉」
どれも。
あり得る。
「だが」
一拍。
「対処可能よ」
静かな断定。
「……軍を」
「動かす」
決まった。
次の標的は。
レグナス。
■グラディウス竜王国
「面白ぇ」
ドラクス・グラディウスは笑う。
「バルザーンが負けたか」
一拍。
「なら」
拳を握る。
「俺が壊す」
単純。
だが。
強い。
「全軍、準備だ」
これもまた。
動いた。
■セラフィナ教皇国
「……導きが来ました」
エルミナ・セラフィナは祈る。
「異端が現れた」
一拍。
「ならば」
「正す必要があります」
静かな狂気。
「聖戦を」
それが。
結論だった。
■バルザーン帝国
「……動くな」
ゼルハルト・バルザーンは命じる。
「原因が分かるまで」
一拍。
「再戦はしない」
合理。
だが。
遅い。
もう。
流れは動いている。
■中規模国家
「……動き出したか」
ガルディウス・ベルグラードは地図を見る。
「三大国」
一拍。
「レグナスに向かう」
沈黙。
「……止められません」
「分かっている」
だが。
「……巻き込まれるな」
短い命令。
それが。
限界だった。
■レグナス王国
「……来るな」
カインが呟く。
「全部か」
一拍。
視線は変わらない。
「いいだろう」
静かな声。
一方。
アルディウス・レグナス。
「……準備を」
「はい」
一拍。
「問題ない」
それだけだった。
理由はない。
だが。
十分だった。
世界は。
動いた。
三大国。
中規模国家。
すべてが。
レグナスへ向かう。
だが。
その意味を。
誰も知らない。




