■第64話:余波②
■バルザーン帝国
「……確定です」
玉座の間。
「敗北」
その言葉が落ちる。
ゼルハルト・バルザーンは、動かない。
一拍。
「……原因」
「特定中です」
沈黙。
「……遅い」
小さく呟く。
戦は終わった。
だが。
理解は終わっていない。
「……報告をまとめろ」
一拍。
「必ず理由がある」
合理の王。
それが結論だった。
だが。
その“理由”は。
まだ見えていない。
■アストリア魔導皇国
「……敗北ね」
リシェル・アストリアは微笑む。
「興味深い」
一拍。
「だが」
視線を上げる。
「理は崩れていない」
静かな断定。
「……解析を」
「すべての戦闘記録を回収」
一拍。
「対策を立てる」
それだけだった。
だが。
その“理”は。
すでに。
外にある。
■グラディウス竜王国
「……ほう」
ドラクス・グラディウスは笑う。
「負けたか」
一拍。
「ならば」
立ち上がる。
「俺が行く」
単純。
力の国。
「潰せばいい」
それだけだった。
だが。
その“力”は。
届かない。
■セラフィナ教皇国
「……敗北ではありません」
エルミナ・セラフィナは静かに言う。
「試練です」
一拍。
「神は我々を試している」
祈りの声。
「ならば」
「越えましょう」
迷いはない。
だが。
その“試練”は。
用意されたものだ。
■レグナス王国
「……報告は以上か」
アルディウス・レグナスは問う。
「はい」
一拍。
「……そうか」
静かに頷く。
「問題ない」
側近が顔を上げる。
「……なぜですか」
一拍。
「終わったからだ」
短い答え。
そして。
「次が来る」
その言葉。
静かに落ちた。
理解しているわけではない。
だが。
分かっている。
「彼が動く」
それだけで。
十分だった。
同じ情報。
同じ結果。
だが。
結論は違う。
それが。
差だった。




