■第63話:余波
静かに。
広がっていた。
報が。
バルザーン帝国。
敗北。
その一言が。
大陸を駆ける。
■ベルグラード王国(中規模)
「……確定か」
ガルディウス・ベルグラードは報告書を閉じた。
「はい。バルザーン帝国、壊滅的損害」
一拍。
「……あり得ん」
低く呟く。
合理の国。
最適解を積み上げる国家。
それが。
負けた。
「……理由は」
「不明です」
沈黙。
だが。
違う。
“不明”ではない。
分からないだけだ。
「……対象は」
「レグナス王国」
一拍。
「……小国だ」
そう言った。
だが。
言い切れなかった。
「……違うな」
小さく呟く。
「小国ではない」
初めて。
認識が変わる。
■ルミナール連邦
「……撤退勧告を出しなさい」
セレス・ルミナールは即答した。
「対象は」
「レグナス王国周辺すべて」
一拍。
「関わるな」
冷静な判断。
利益にならない。
それだけではない。
「……危険ですか」
一瞬。
「……不明よ」
だが。
「触れない方がいい」
それで十分だった。
■ヴァルハイン王国
「……負けただと?」
レオナルト・ヴァルハインは拳を握る。
「バルザーンが?」
信じられない。
だが。
事実だ。
「……ならば」
一拍。
「我々が試す」
騎士の国。
誇りは、折れない。
だが。
それが。
何を意味するのか。
まだ知らない。
■エルディナ魔導王国
「……理論が崩れている」
ミレイナ・エルディナは静かに呟く。
「あり得ない」
だが。
現実は起きている。
「……再計算」
意味はない。
だが。
やるしかない。
■ラディウス聖国
「……神の御業ではない」
フィオラ・ラディウスは目を閉じる。
「では何か」
一拍。
「……分かりません」
信仰では届かない。
それが。
初めてだった。
■レグナス王国
「……報告は以上か」
アルディウス・レグナスは問う。
「はい」
一拍。
「……そうか」
静かに頷く。
「問題ない」
側近が顔を上げる。
「……理由を」
一拍。
「勝ったからだ」
それだけだった。
理解ではない。
分析でもない。
信頼。
それが。
すべてだった。
大陸は。
まだ知らない。
この敗北の意味を。
だが。
確実に。
何かが変わった。
そして。
その変化は。
止まらない。




