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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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62/442

■第62話:決着

 静かだった。


 


 あれだけの衝突の後とは思えないほどに。


 


 


 風だけが、流れている。


 


 


 


 バルザーン軍。


 


 


 


 止まっていた。


 


 


 


 進まない。


 


 


 


 動かない。


 


 


 


 


「……終わりだな」


 


 


 誰かが呟く。


 


 


 


 


 それに、誰も返さない。


 


 


 


 


 必要がないからだ。


 


 


 


 


 


 理解している。


 


 


 


 


 


 すべてが。


 


 


 


 


 


 終わったと。


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 レグナス。


 


 


 


 


 


「……終わったな」


 


 


 


 


 


 バルガスが呟く。


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


 


 短く答える。


 


 


 


 


 


 


「終わった」


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 それ以上はない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「……で?」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 バルガスが笑う。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「何したんだお前」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一瞬の沈黙。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 そして。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「何も」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな答え。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「ただ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「動かしただけだ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 その一言。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 すべてを表していた。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 バルザーン本陣。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「……指揮官」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 副官が呼ぶ。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 指揮官は、立っていた。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 崩れた戦場を見ている。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かに。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……見事だ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 小さく呟く。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「はい」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 副官が応じる。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……最初からか」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 副官は答えない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 理解している。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 その問いの意味を。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……我々は」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 指揮官が呟く。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「いつから負けていた」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな問い。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 そして。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 答えは。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 すぐに出た。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……最初からだ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 誰も否定しない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 できない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 指揮官は笑う。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 小さく。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それで。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 十分だった。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一歩。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 前に出る。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 戦場へ。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……行く」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 短い言葉。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 副官は止めない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 止められない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 バルザーンだった。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 レグナス。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


「……来るな」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 小さく呟く。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


「最後か」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 視線を向ける。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 ただ一人。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 歩いてくる。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……いいだろう」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな声。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 終わりだった。


 戦は終わった。


 


 


 だが。


 


 


 


 それは。


 


 


 


 ただの一戦の終わりではない。


 


 


 


 始まりだった。


 


 


 


 


 大陸は。


 


 


 


 まだ知らない。


 


 


 


 


 この一戦で。


 


 


 


 何が生まれたのかを。



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