■第62話:決着
静かだった。
あれだけの衝突の後とは思えないほどに。
風だけが、流れている。
バルザーン軍。
止まっていた。
進まない。
動かない。
「……終わりだな」
誰かが呟く。
それに、誰も返さない。
必要がないからだ。
理解している。
すべてが。
終わったと。
一方。
レグナス。
「……終わったな」
バルガスが呟く。
「ああ」
短く答える。
「終わった」
それ以上はない。
一拍。
「……で?」
バルガスが笑う。
「何したんだお前」
一瞬の沈黙。
そして。
「何も」
静かな答え。
「……は?」
「ただ」
一拍。
「動かしただけだ」
その一言。
すべてを表していた。
一方。
バルザーン本陣。
「……指揮官」
副官が呼ぶ。
一拍。
指揮官は、立っていた。
崩れた戦場を見ている。
静かに。
「……見事だ」
小さく呟く。
「はい」
副官が応じる。
一拍。
「……最初からか」
「ああ」
副官は答えない。
だが。
理解している。
その問いの意味を。
一拍。
「……我々は」
指揮官が呟く。
「いつから負けていた」
静かな問い。
そして。
答えは。
すぐに出た。
「……最初からだ」
誰も否定しない。
できない。
指揮官は笑う。
小さく。
「……そうか」
それで。
十分だった。
一歩。
前に出る。
戦場へ。
「……行く」
短い言葉。
副官は止めない。
止められない。
それが。
バルザーンだった。
一方。
レグナス。
「……来るな」
小さく呟く。
「最後か」
一拍。
視線を向ける。
ただ一人。
歩いてくる。
「……いいだろう」
静かな声。
それが。
終わりだった。
戦は終わった。
だが。
それは。
ただの一戦の終わりではない。
始まりだった。
大陸は。
まだ知らない。
この一戦で。
何が生まれたのかを。




