■第61話:最後の突撃
動いた。
崩壊したまま。
バルザーン軍は、進む。
「進軍継続」
命令は変わらない。
変えられない。
補給は遅れている。
通信は乱れている。
配置も崩れている。
それでも。
進む。
「……いいのか」
副官が低く言う。
「このままでは」
一拍。
「全滅します」
静かな指摘。
だが。
「……ああ」
指揮官は頷く。
否定しない。
「理解している」
一拍。
「だが進む」
その一言。
理由は、すでに出ている。
「国家だからだ」
それだけ。
一方。
レグナス。
「……来たな」
小さく呟く。
「おいおい……マジで来るのかよ」
バルガスが笑う。
「終わってんだろもう」
「ああ」
短く答える。
「終わっている」
一拍。
「だから来る」
静かな断定。
バルガスが笑う。
「いいねぇ」
「嫌いじゃねぇ」
戦場。
距離が縮まる。
崩れた隊列。
乱れた動き。
それでも。
止まらない。
一方。
バルザーン本陣。
「……距離」
「縮小中」
副官が報告する。
それは。
最後の距離。
「……いい」
指揮官が呟く。
「これでいい」
理解している。
勝てない。
だが。
「届く」
一瞬でも。
触れればいい。
「それで」
「十分だ」
一方。
レグナス。
「……そうか」
小さく呟く。
「それが最後か」
一拍。
視線を上げる。
「いいだろう」
静かな声。
戦場が、交わる。
バルザーンの意地。
レグナスの構造。
その衝突は。
一瞬だった。
そして。
結果は。
変わらない。
戦は。
終わる。




