■第60話:敗北の確定
静かだった。
先ほどまでの轟音が、嘘のように。
バルザーン本陣。
「……報告」
声が落ちる。
「一点集中、効果なし」
「戦線、維持不可」
「補給、崩壊」
短い。
だが。
十分だった。
「……そうか」
指揮官が頷く。
理解している。
これは。
負けだ。
一拍。
「……副官」
「はい」
「確認する」
静かな声。
「我々は」
一拍。
「負けたか」
沈黙。
逃げない。
誤魔化さない。
「……はい」
副官が答える。
それで。
終わった。
一方。
レグナス。
「……終わったな」
バルガスが呟く。
「ああ」
短く答える。
「ここまではな」
一拍。
「……まだあんのかよ」
「ああ」
視線は前。
「最後がある」
一方。
バルザーン本陣。
「……撤退は」
副官が言う。
だが。
「できない」
即答。
「……理由は」
一拍。
「見られているからだ」
変わらない。
最初から。
最後まで。
それが。
国家。
「……では」
副官が息を吸う。
「最後の命令を」
一拍。
指揮官は目を閉じる。
理解している。
すべて。
そして。
それでも。
「……進軍継続」
命令を下す。
最後まで。
止まらない。
止まれない。
一方。
レグナス。
「……来るな」
小さく呟く。
「何がだ」
「最後だ」
一拍。
「……ああ」
バルガスが笑う。
「いいじゃねぇか」
「最後くらいな」
戦は。
終わる。
だが。
まだ。
終わっていない。




