■第59話:崩壊開始
動いた。
すべてが。
バルザーンの全戦力。
一点へ。
「集中完了」
無機質な声。
「射線、統合」
「補給、再配分」
「通信、優先接続」
完璧だった。
これ以上はない。
「……撃て」
指揮官の命令。
その瞬間。
世界が揺れた。
轟音。
光。
爆発。
すべてが。
一点に叩き込まれる。
圧倒的。
合理の極致。
一方。
レグナス。
「……来たな」
小さく呟く。
「おい……やべぇぞこれ」
バルガスが息を呑む。
避けられない。
防げない。
そう見える。
一拍。
「問題ない」
静かな声。
「……は?」
その瞬間。
崩れた。
音が。
流れが。
すべてが。
「……何だ?」
バルガスが目を見開く。
爆発は起きた。
だが。
連鎖しない。
広がらない。
「……止まってる?」
違う。
止まっていない。
ズレている。
一方。
バルザーン本陣。
「……命中確認」
「……効果は」
一拍。
「……不明」
沈黙。
「……何だと」
あり得ない。
あれだけの集中。
あれだけの威力。
それが。
「……ズレている」
誰かが呟いた。
その一言。
すべてを表していた。
一点集中。
最適解。
だが。
「……位置が違う」
わずかなズレ。
それが。
すべてを狂わせた。
一方。
レグナス。
「……終わりだ」
小さく呟く。
「おい……マジかよ」
バルガスが笑う。
「今のが最強だろ?」
「ああ」
頷く。
「だから終わる」
一拍。
「……なんでだよ」
「簡単だ」
視線は前。
「揃えさせたからだ」
静かな答え。
一点集中。
それは。
強い。
だが。
“揃う”。
それが。
条件だった。
「……最初からか」
バルガスが呟く。
「ああ」
短く答える。
「全部だ」
その言葉。
静かに落ちた。
合理は。
最後まで正しかった。
だから。
負けた。




