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第58話:王たちの視点

バルザーン王


 玉座。


 


 重厚な空気。


 


 


「……戦況は」


 


 


 低い声。


 


 


 


「進軍継続中」


 


 


「一点集中による突破を実行」


 


 


 


 


 報告は簡潔だった。


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 王は頷く。


 


 


 


 


 情報は入っている。


 


 


 誤差。


 


 遅延。


 


 


 


 だが。


 


 


 


「問題はない」


 


 


 


 


 一言。


 


 


 


 


「最適解を選んでいる」


 


 


 


 


 合理の国。


 


 


 


 


 ならば。


 


 


 


 


「いずれ収束する」


 


 


 


 


 それが結論だった。


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 戦場では。


 


 


 


 


 


 すでに。


 


 


 


 


 


 終わっている。


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 王は知らない。


 


 


 


 


 


 


■アストリア魔導皇国


 静かな間。


 


 女王が報告を受ける。


 


 


 


「……面白いわね」


 


 


 


 微笑む。


 


 


 


 


「計算が崩れている」


 


 


 


 


「だが」


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


「理は裏切らない」


 


 


 


 


 


 魔導の国。


 


 


 


 


 


 すべては理論。


 


 


 


 


 


「対策すればいい」


 


 


 


 


 


 それだけの話だった。


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 その“理”すら。


 


 


 


 


 


 前提ごと壊されている。


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 まだ気づかない。


 


 


 


 


 


 


■グラディウス竜王国


 笑い声。


 


 


 


「負けてるだと?」


 


 


 


 王が笑う。


 


 


 


 


「なら弱いだけだ」


 


 


 


 


 


 力の国。


 


 


 


 


 


 単純。


 


 


 


 


 


「押し潰せばいい」


 


 


 


 


 


 それだけ。


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 その“力”すら。


 


 


 


 


 


 届かない位置にある。


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 理解はしていない。


 


 


 


 


 


 


■セラフィナ教皇国


 祈りの中。


 


 


 


「……試練ですね」


 


 


 


 教皇が呟く。


 


 


 


 


「異常ではない」


 


 


 


 


「導きです」


 


 


 


 


 


 信仰の国。


 


 


 


 


 


 すべては意味を持つ。


 


 


 


 


 


「ならば」


 


 


 


 


 


「越えればいい」


 


 


 


 


 


 それが答え。


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 その“意味”すら。


 


 


 


 


 


 用意されている。


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 まだ見えない。


 


 


 


 


 


 


■レグナス王国


 静かな部屋。


 


 


 


「……報告は以上か」


 


 


 


 王が問う。


 


 


 


 


「はい」


 


 


 


 


 


 側近が頭を下げる。


 


 


 


 


 


 内容は同じ。


 


 


 


 


 


 誤差。


 


 


 


 


 


 遅延。


 


 


 


 


 


 崩壊。


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 


 


 


 王は頷く。


 


 


 


 


 


 


「問題ない」


 


 


 


 


 


 


 その一言。


 


 


 


 


 


 


 側近が顔を上げる。


 


 


 


 


 


 


「……理由を伺っても」


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


 


 


「分からん」


 


 


 


 


 


 


 


 正直な言葉。


 


 


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 


 


 


 


「何をしているのか」


 


 


 


 


 


 


 


「どう動いているのか」


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


 


 


 


「分からん」


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 沈黙。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


「だが」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一歩。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「勝つ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな断定。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 側近が息を呑む。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……なぜですか」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 王は答える。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「彼だからだ」


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それだけだった。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 理解ではない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 分析でもない。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 信頼。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それだけ。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 そして。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それだけが。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 正しかった。


 誰も知らない。


 


 


 この戦が。


 


 


 すでに終わっていることを。


 


 


 


 ただ一人を除いて。



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