第57話:最後の最適解
静寂。
無駄な報告は消えていた。
残ったのは。
必要な情報だけ。
バルザーン本陣。
「……全体状況」
指揮官が問う。
「崩壊進行中」
「補給、断続的遅延」
「通信、不安定」
短い。
正確。
「……理解している」
静かに頷く。
もう。
誤差ではない。
異常でもない。
「構造だ」
それが結論だった。
一拍。
「……ならば」
目が、変わる。
「最適解を取る」
合理の頂点。
逃げない。
誤魔化さない。
なら。
「一点突破だ」
副官が息を呑む。
「……全戦力を?」
「ああ」
「分散しても崩れる」
「なら」
「集約する」
合理的結論。
「一点に全てを叩き込む」
勝てる可能性。
唯一。
「それしかない」
一方。
レグナス。
「……来るな」
小さく呟く。
「何がだ」
バルガスが問う。
「最適解だ」
一拍。
「全てを集める」
「一点に」
静かな声。
「……やばくねぇかそれ」
「ああ」
短く答える。
「強い」
否定しない。
だが。
「終わる」
一拍。
「……なんでだよ」
「理由は簡単だ」
視線は前。
「それが最適解だからだ」
沈黙。
「……は?」
「合理は正しい」
「だから」
「誘導できる」
静かな断定。
一方。
バルザーン本陣。
「……全戦力、再配置」
「一点集中準備」
動き出す。
巨大な流れが。
だが。
その動きは。
すでに。
決められていた。
「……これで」
指揮官が呟く。
「届く」
だが。
それは。
違った。
一方。
レグナス。
「……揃ったな」
小さく呟く。
「何がだ」
「全部だ」
一拍。
「配置が」
静かな声。
「終わった」
その言葉。
戦場に、落ちた。
最適解。
それは。
最善ではない。
ただの。
“誘導された答え”だった。




