第49話:修正する国家
異常は、認識された。
そして。
「原因特定」
無機質な声が響く。
バルザーン本陣。
「地形データに不整合」
「更新遅延領域あり」
「……そうか」
指揮官が頷く。
「外部要因ではない」
「内部の遅延だ」
合理的な結論。
そして。
「修正開始」
即断。
「全域再測定」
「データ再取得」
「補正値更新」
止まらない。
止めない。
「……本気だな」
副官が呟く。
「当然だ」
短く返す。
「誤差は消す」
それが、合理だ。
一方。
レグナス。
「……来るぞ」
小さく呟く。
「何がだ?」
バルガスが問う。
「修正だ」
その瞬間。
轟音。
爆発。
先ほどとは違う。
精度が上がっている。
「……当たってるな」
バルガスが歯を食いしばる。
「ああ」
短く答える。
「戻った」
命中率。
戦線。
すべてが。
「……やばくねぇかこれ」
バルガスが低く言う。
「押されてるぞ」
「ああ」
否定しない。
実際に。
押されている。
一方。
バルザーン本陣。
「命中率、回復」
「誤差収束中」
「……いい」
指揮官が小さく笑う。
「やはりな」
「崩れる要素はない」
計算通り。
「対象は?」
「後退中」
「追撃」
迷いはない。
一方。
レグナス。
「……どうする」
バルガスが問う。
「このままだと押し切られるぞ」
一拍。
「問題ない」
静かに言う。
「……ほんとかよ」
「予定通りだ」
その言葉。
「……マジか」
バルガスが笑う。
「押されてんのにか?」
「ああ」
一拍。
「押させている」
静かな断定。
沈黙。
「……は?」
「戻るのはわかっていた」
「だから」
「ここまで引いた」
視線を前に向ける。
地形。
距離。
すべて。
「揃った」
その一言。
一方。
バルザーン本陣。
「……異常なし」
「すべて正常」
完璧。
完全。
合理。
「……よし」
指揮官が頷く。
「これで終わる」
だが。
それは。
違った。
「……来るな」
レグナス側。
「何がだ」
「次だ」
静かな声。
修正は終わった。
だから。
次が来る。
そして。
それが。
本当の崩壊の始まりだった。




