第46話:計算される戦
音が違った。
戦場の音ではない。
規則的な音。
金属。
歯車。
――バルザーン工業連邦。
「……これが」
バルガスが呟く。
目の前。
整列した兵。
だが、人ではない。
機械。
「……軍か、これ」
「軍だ」
短く答える。
無駄がない。
迷いがない。
すべてが“計算されている”。
「厄介だな」
バルガスが低く言う。
「ああ」
否定しない。
感情がない。
揺れない。
つまり。
「崩れない」
内部からは。
「……どうする」
バルガスが問う。
一拍。
「試す」
「は?」
「まだ読めていない」
静かに言う。
「なら」
「確認する」
その瞬間。
バルザーン側。
「距離、到達」
「射程内」
「発射準備」
無機質な声。
「……来るぞ!」
バルガスが叫ぶ。
だが。
「動くな」
「……は!?」
「そのまま」
静かな命令。
そして。
轟音。
光。
爆発。
土煙が上がる。
「……っ!」
衝撃。
だが。
「……軽いな」
小さく呟く。
「何だと?」
バルガスが目を見開く。
「威力が低い」
「様子見だ」
こちらを測っている。
一方。
バルザーン本陣。
「……耐えた?」
指揮官が眉をひそめる。
「想定内だ」
即答。
「第一射は確認用」
「反応は」
「なし」
沈黙。
「……動かないか」
「なら」
「次へ」
命令が下る。
一方。
こちら。
「……どうする」
バルガスが問う。
「動かない」
即答。
「またかよ」
「今回は違う」
一拍。
「相手が完成している」
帝国とは違う。
迷いがない。
だから。
「崩れない」
だが。
「問題ない」
静かに言う。
「崩さない」
「……は?」
「利用する」
短い答え。
合理の国。
なら。
「動きは読める」
それが、すべてだ。
戦は、始まった。
だが。
勝敗は。
まだ、遠い。




