表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
385/442

第387話「国境の渡し守」

レグナス王国とアルカディア帝国の国境を流れる大河。その中流で渡し舟を営む老ジャンは、夜の帳が下りる中、舟を桟橋に繋ぎ止めていた。


「ジャンさん、今夜はもう店仕舞いかい?」


声をかけてきたのは、近くの国境警備隊の若い兵士だった。


「ああ、水神様の機嫌が悪くてな。ここ数日、上流の水門の開き方が妙に不規則で、川の流れが急に変わるんだ。危なくて舟は出せんよ」


ジャンは煙草に火をつけ、白煙を吐き出した。


警備兵は「役所の連中の管理がズサンなんだろ」と笑って去っていった。だが、ジャンはこの川で四十年間生きてきた男だ。上流の水門が動くタイミングが、決して偶然ではないことを知っていた。


川の流れが激しく変わる日は、決まって帝国の「偵察船」が水面下に現れる時期と完全に一致していた。


大々的に兵を出して敵の船を拿捕すれば、それは外交問題、ひいては戦争の引き金になる。だからレグナスは、ただ上流の小さな農業用水門をほんの少し開閉し、川に不規則な急流を作り出すことで、帝国の船を「勝手に座礁」させるか、撤退させていたのだ。


帝国側は、それを単なる自然の脅威、あるいは水利管理の不手際だと思い込んでいる。


「戦をせずに、川を味方につけてやがる」


ジャンは暗い水面を見つめた。


夜の闇の中、川は何事もなかったかのように静かに流れている。しかしその流れの一滴にいたるまで、宮廷の奥深くにいる「誰か」の精密な指揮によって、完璧にコントロールされていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ