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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第348話「夕暮れの橋」

夕暮れ時、ガルスは橋の欄干に手をついて川を見ていた。


今日は朝から荷馬車が十七台通った。


去年の同じ時期の記録を思い出す。たしか十一台だった。


六台増えた。理由はよくわからない。ただ増えた。


川の水は変わらず流れている。橋の石は変わらず固い。ガルスがここで記録を取り始めてから、川も橋も何も変わっていない。


変わったのは、橋を渡る人の数だけだ。


「お疲れさん」


交代の番兵が来た。


「お疲れさん」


ガルスは帳面を渡した。


「今日も普通か」


「普通だ」


荷馬車が十七台通った。でも「普通」と言った。


以前は十一台が普通だった。いつの間にか十七台が普通になった。


変化は静かに来る。


誰かが叫んで変わるのではない。気づいたら変わっている。


橋の上に夕日が差していた。川の水がゆっくりと、西へ向かって流れていく。

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