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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第338話「朝の竜舎」

ドナルは夜明け前から竜舎にいた。


今日の当番は昼からだ。だが眠れなかった。


竜舎の中は静かだった。外の空気が冷たく、藁の匂いがする。奥の区画から低い寝息が聞こえた。


フェルガという名の竜がいる。


三年前、ドナルが初めて担当した竜だ。その頃は近づくだけで威嚇した。翼を広げ、喉の奥から低い音を出した。


今は違う。


ドナルが近づくと、フェルガは首だけ少し持ち上げる。目が開く。それだけだ。怒っているわけではない。ただ確認している。お前か、と。それだけを確かめて、またゆっくりと目を閉じる。


この変化がいつ起きたのか、ドナルにはわからない。気づいたらそうなっていた。


誰かが意図したわけじゃない。少しずつの積み重ねが、ある日形になっていただけだ。


竜は人間より長く生きる。それでも変わる。


ドナルは藁を少し足してやって、竜舎の外に出た。東の空が少しずつ赤くなっていた。

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