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第334話「帰り道の記録」
調査が終わり、一行は帰路についた。
荷馬車の中でリオは手帳を整理していた。
書いたことは多い。
道幅。
水源の位置。
家の数。
人口の推定。
補給路の状態。
問題点のリスト。
全部で十七ページになっていた。
来た時は何も書かれていなかった場所だ。
先輩係官が隣に座った。
「どうだった」
「思ったより多くあった、と思います」
「何が」
リオは少し考えた。
「普通の暮らしが」
山の中の小さな集落。
地図にない場所。
でもそこには水があって、火があって、子供がいて、老人がいた。
「当たり前だな」
先輩は言った。
「人がいれば暮らしはある」
当たり前のことだった。
でも来るまでは、何があるか分からなかった。
荷馬車が揺れた。
リオは手帳を閉じた。
局に戻ったら、この十七ページを報告書にする。
それがこの旅の続きだった。




