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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第329話「新しい店」

橋の先に、小さな店が開いた。


革細工の店だった。


店主は若い男で、どこから来たのかは分からない。


ガルスは朝、その店の前を通った。


「いつ開いたんですか」


「三日前です」


男は革を縫いながら答えた。


「ここを選んだのは?」


「橋があるので」


それだけだった。


橋があるから人が通る。


人が通るから店が成り立つ。


ガルスは帳面を思い出した。


余白に書いた北道崩落の話。


あの後、局の人間が確認に来た。


たった一行だったが、誰かに届いていた。


「橋番さんですか」


男が聞いた。


「そうです」


「橋、助かってます」


礼を言われた。


橋を作ったのはガルスではない。


守っているだけだ。


だが守っていることが、この店を支えている。


ガルスは橋へ戻った。


今日も誰かが渡ってくる。


帳面を開いて、数を数え始めた。

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