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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第328話「荷の重さ」

バレンは次の街へ向かっていた。


荷馬車の上で、揺られながら帳面を見ている。


売れた数。


残った数。


次に仕入れる量。


数字は合っている。


だが少し気になることがあった。


今日、市で値段を下げた商人がいた。


布ではなく、塩だった。


塩の値段が下がっている。


運ぶのが楽になったからだ。


道が良くなれば、遠くから運べる。


遠くから運べれば、量が増える。


量が増えれば、値段が下がる。


バレンは窓の外を見た。


街道が続いている。


整備された道だった。


便利だと思っていた。


だが今日、塩商人の顔を見た。


困っているわけではなかった。


ただ、やり方を変えようとしていた。


道が変わると、商売が変わる。


変わり続けることに慣れた者が残る。


バレンは帳面を閉じた。


次の街まで、まだ時間がある。


揺れる荷馬車の中で、少し考え続けた。

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