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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第327話「夜の竜舎・二頭」

竜舎の奥に、二頭が並んでいる。


古い竜と、若い竜だ。


仲がいいわけではない。


ただ、隣の区画に割り当てられているだけだった。


整備兵のセルは夜回りをしながら、その二頭を見ていた。


古い竜は目を閉じている。


若い竜はまだ起きていて、時々古い竜の方を見る。


何かを学ぼうとしているのか。


ただ気になっているだけなのか。


セルには分からない。


竜の考えることは分からない。


でも最近、分からなくてもいいと思うようになった。


以前は答えを出さないといけない気がしていた。


なぜこの竜は荒れるのか。


なぜこの竜は飛ぶのを嫌がるのか。


全部理由を見つけようとした。


今は違う。


まず見る。


しばらく見る。


それだけでいい場合もある。


古い竜が目を開けた。


セルを見た。


それからまた目を閉じた。


気にしていないのか、慣れたのか。


セルは次の区画へ歩いた。


夜の竜舎は静かだった。

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