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第326話「村長の茶」
夕方、調査隊は村長の家に通された。
村長は六十がらみの女だった。
名前はオリフといった。
茶が出た。
山草を煮出したもので、少し苦かった。
「街道局が来たのは初めてですか」
先輩係官が聞く。
「来たことがあったかもしれない」
オリフは静かに答えた。
「でも何も変わらなかった」
責めているわけではなかった。
ただ事実として言っていた。
先輩は少し間を置いた。
「今回は道の記録を取ります。それが最初の一歩です」
「記録して、それから?」
「補修の優先度が決まります。時間はかかります」
「そうですか」
オリフは茶を飲んだ。
急かさなかった。
疑いもしなかった。
ただ、聞いていた。
リオは手帳に書いた。
村長・女性・六十代・オリフ。態度:静か。不信感:なし。期待:薄い。
書いてから、最後の一行を少し見た。
期待が薄いのは、当たり前だった。
今まで何も変わらなかったのだから。




