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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第314話「古い結び目」

■ドラグナール竜騎帝国・竜騎団史料室


午前。


史料室は静かだった。


棚には古い記録が並んでいる。


竜騎団の記録係オルフが一冊を開いていた。


五十年前の竜舎台帳。


目的は別のことだった。


だが途中でページが止まった。


ある竜の記録。


「気性荒く、調教難航。廃棄検討」


廃棄。


その言葉に少し手が止まる。


台帳を繰る。


翌年の記録。


「飛行安定。第三騎士隊配属」


廃棄を検討された竜が、翌年には飛んでいる。


担当者の名前が変わっていた。


何があったのかは分からない。


記録には書かれていない。


ただ結果だけが残っていた。


オルフは台帳を閉じる。


今日調べたいことは別にあった。


だが少しの間、その竜のことを考えた。


名前もない竜だった。


それでも誰かが向き合った。


そしてその竜は飛んだ。


史料室の窓の外で、竜の影が過ぎる。


■最後


記録は結果しか残さない。


その間にあったものは、誰かの記憶の中にだけある。


(次話へ)

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