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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第313話「谷へ続く道」

■共同街道局・調査隊 道中


昼過ぎ。


山道は思ったより険しかった。


調査隊の荷馬車が坂道で揺れる。


御者が手綱を引き締めた。


係官リオは窓の外を見ていた。


木々の隙間から、谷の方向が見える。


まだ遠い。


「この先に本当に集落があるんですか」


護衛の一人が問う。


「地図にはない」


先輩係官が答える。


「でも煙の記録はある」


炊事の煙。


旅商人の証言。


証拠は薄いが、無いわけでもなかった。


荷馬車が一度止まる。


倒木が道を塞いでいた。


護衛たちが降りて動かし始める。


リオも手伝おうとした。


「係官は記録を」


先輩に止められた。


仕方なくリオは手帳を開く。


倒木。


道幅。


傾斜の様子。


些細なことだった。


だが書き留めることが仕事だった。


道が開く。


馬車がまた動き出した。


谷はまだ見えない。


それでも、少しずつ近づいていた。


■最後


知らない場所へ向かう時。


足より先に、手が動く。


(次話へ)

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