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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第31話:変わるもの

反乱は、終わった。


 


 血は流れなかった。


 


 


 だが。


 


 


「……終わった、のか」


 


 


 誰もが、そう思っていた。


 


 


 


 数日後。


 


 


 エルド地区。


 


 


 市場は、再び開かれている。


 


 


 人も戻り始めている。


 


 


 


 だが。


 


 


 完全に元通りではない。


 


 


 


「……来てるな」


 


 


 小さく呟く。


 


 


 


「またか?」


 


 


 バルガスが問う。


 


 


 


「違う」


 


 


 


「今回は、別だ」


 


 


 


 


 視線を感じる。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 前とは違う。


 


 


 


 恐怖だけではない。


 


 


 


 


「……あの人」


 


 


 


 小さな声。


 


 


 


 振り向く。


 


 


 


 あの時の男だった。


 


 


 


 反乱の中心にいた男。


 


 


 


 


「……何の用だ」


 


 


 


 短く問う。


 


 


 


 


 男は、少し迷い。


 


 


 


 


「……あの時は、すまなかった」


 


 


 


 


 頭を下げた。


 


 


 


 


 周囲がざわつく。


 


 


 


 


 


「別に構わない」


 


 


 


 


 それだけを返す。


 


 


 


 


 


「いや」


 


 


 


 


 男は首を振る。


 


 


 


 


 


「わからなかったんだ」


 


 


 


 


 


「お前が」


 


 


 


 


 


 


 沈黙。


 


 


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


 


 


「見た」


 


 


 


 


 


 


 顔を上げる。


 


 


 


 


 


 


「隣の地区」


 


 


 


 


 


 


「戦った国」


 


 


 


 


 


 


 


「……ガレスか」


 


 


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


 


 


 


「何も残ってなかった」


 


 


 


 


 


 


 


 静かな声。


 


 


 


 


 


 


 


「戦えば、ああなる」


 


 


 


 


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


 


 


 


 


「ここは違う」


 


 


 


 


 


 


 


 


 市場。


 


 


 


 


 


 


 


 人。


 


 


 


 


 


 


 


 日常。


 


 


 


 


 


 


 


 


「残ってる」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それが、答えだった。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 短く返す。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「だから」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 男は続ける。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「怖いけど」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「間違ってないと思った」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな言葉。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それでいい。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「一つ、頼みがある」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「何だ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「働かせてくれ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 空気が止まる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「この国のために」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 迷いはない。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「俺は、何もできなかった」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「今なら、やれる」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 沈黙。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……いいだろう」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 短く答える。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「使う」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「ただし」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 一拍。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「結果を出せ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「はい」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 即答だった。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それを見て。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……変わるもんだな」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 バルガスが呟く。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「時間がかかるだけだ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 恐怖は消えない。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 理解は生まれる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それは。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 形になる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「……次だな」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 歩き出す。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 小国は、まとめられていく。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 恐怖ではなく。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 理解で。



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