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最強だった俺は、もう戦わないと決めた ―辺境小国の宰相として大陸を制す―  作者: 竜太郎


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第309話:調査隊の朝

■共同街道局


早朝。


街道にはまだ朝靄が残っていた。


共同街道局の中庭では、小さな調査隊が出発準備を進めている。


目的地はグランデル谷集落。


数日前まで記録すら無かった村だった。


荷馬車へ補給品が積み込まれる。


保存食。


予備燃料。


簡易測量具。


どれも特別な物ではない。


若い係官リオは名簿を確認していた。


文官二名。


護衛三名。


御者一名。


小さな隊だ。


先輩係官が近づく。


「緊張してるな」


「少しだけです」


リオは苦笑した。


実際はかなり緊張している。


地図に無かった場所。


情報の少ない村。


何があるか分からない。


だが行かなければ分からない。


出発の鐘が鳴る。


荷馬車がゆっくり動き出した。


車輪が石畳を踏む音が中庭へ響く。


リオはその後ろ姿を見送った。


地図の余白へ向かう馬車だった。


■最後


知らない場所は不安だった。


だが知らないままにしておく方が、もっと不安だった。


(次話へ)


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