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第300話:余白は残る
■世界中央観測会議
巨大な地図が広げられていた。
橋。
宿。
街道。
売店。
避難灯。
補給路。
記録された印は増えている。
若い係官が報告書を整理していた。
新しい橋。
新しい宿。
新しい村。
最近はそうした報告も珍しくなくなった。
だが地図を見れば分かる。
余白はまだ広い。
山岳地帯。
辺境集落。
記録の少ない地域。
知られていない道。
まだ多くが残っている。
昼。
新しい報告が届く。
聞いたことのない村の名前だった。
若い係官が首を傾げる。
「どこですか、ここ」
上司が地図を見ながら答えた。
「だから調べる」
短い返答だった。
地図へ小さな印が加わる。
たった一つ。
それだけだった。
■レグナス
ヴェルドは報告書を閉じた。
カイルが隣で言う。
「印が増えましたね」
ヴェルドは頷く。
「ええ」
窓の外。
街道を馬車が進んでいた。
橋を渡り。
宿へ向かい。
また別の場所へ向かう。
世界は静かだった。
だが止まってはいない。
■最後
橋。
宿。
灯。
人。
地図の印は増えていた。
だが余白はまだ広い。
新しい報告は今日も届く。
世界は静かに続いていた。
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