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第293話:屋根のある話
■ベルノ地方北端
雨上がりの朝。
広場にはまだ水溜まりが残っていた。
避難灯。
作りかけのベンチ。
そして話題は新しかった。
「屋根を付けたい」
若者が言う。
老人が笑う。
「また増えたな」
要望ばかり増える。
だが誰も困った顔はしない。
以前は要望など出なかった。
出しても意味がないと思っていた。
今は違う。
叶う保証はない。
それでも話す。
考える。
村長は広場を見る。
人が集まる場所になり始めていた。
だから次が見える。
■最後
人は場所を作る。
場所はまた、人を集める。
小さな循環が静かに生まれていた。
(次話へ)




