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第292話:橋守りの名前
■共同街道局
定例報告。
橋補修完了。
交通量増加。
宿利用増。
いつも通りの内容だった。
若い係官が資料をめくる。
そこで手が止まる。
橋守りの名前一覧。
今まで読んでいなかった欄だった。
人数は少ない。
地味な仕事。
報告書にもほとんど出ない。
だが橋が残ったのは彼らのおかげだった。
係官は少し考える。
そして追記した。
「現地維持活動、評価」
小さな一文。
誰も騒がない。
誰も知らない。
それでも記録には残る。
■レグナス
カイルが報告を見る。
「名前が載りましたね」
ヴェルドは頷いた。
「支える人も記録されるべきでしょう」
窓の外。
街道を馬車が進んでいた。
その道のどこかで、今日も誰かが橋を見ている。
■最後
世界は英雄だけで動かない。
名も残らない人々の積み重ねが、今日も静かに世界を支えていた。
(次話へ)




