第29話:拒む国
次の国は、小さかった。
エルドよりもさらに小さい。
――ガレス小国。
城壁は低い。
兵も少ない。
だが。
「……やる気だな」
バルガスが呟く。
城門は閉じられ。
弓兵が並び。
明確に、“戦う構え”だった。
「降伏はしない、か」
小さく呟く。
「どうする」
バルガスが問う。
「今度は攻めるか?」
「いや」
首を振る。
「戦わない」
それは変わらない。
「じゃあどうすんだよ」
「簡単だ」
城を見上げる。
「閉じる」
「……は?」
「この国を」
その言葉。
意味がわからない。
だが。
「包囲しろ」
命令が下る。
兵が動く。
城を囲む。
だが。
攻めない。
「……それだけか?」
「ああ」
「それだけでいい」
時間が流れる。
一日。
二日。
城の中。
「……食料が足りん」
「水も減っている」
「どうする」
「……まだだ」
耐える。
だが。
三日目。
「……限界だ」
声が落ちる。
民が揺れている。
兵も疲れている。
「……開けろ」
小さな声。
城門が、ゆっくりと開く。
「……終わりだな」
バルガスが呟く。
「ああ」
短く答える。
「戦わずに、か」
「戦った」
「……どこでだ」
「最初からだ」
静かな声。
補給。
時間。
心理。
すべてが、戦いだった。
「……えげつねぇな」
「そうか」
否定はしない。
これが現実だ。
「次だ」
歩き出す。
一つ。
また一つ。
国が、落ちていく。
戦わずに。
確実に。




