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第285話:完成しないベンチ
■ベルノ地方北端
広場。
避難灯の下。
作りかけのベンチが置かれていた。
脚だけ。
背もたれはまだない。
若者が笑う。
「いつ完成するんだ」
老人も笑った。
「知らん」
誰も急がない。
誰も怒らない。
昼。
子供たちが脚だけのベンチへ座る。
不安定だった。
すぐ降ろされる。
それでも楽しそうだった。
村長はその様子を見る。
以前なら無かった風景だった。
支援を待つだけの村。
今は違う。
完成していなくても、人が集まる理由がある。
■最後
全てが揃わなくても前へ進める。
それもまた、小さな強さだった。
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