280/442
第281話:広場のベンチ
■ベルノ地方北端
朝。
広場に木材が運ばれていた。
新品ではない。
倉庫整理で出てきた古材だった。
若者たちが運ぶ。
老人たちが測る。
子供たちが覗き込む。
村長は腕を組んで見ていた。
「設置許可でも来たんですか」
若者が聞く。
村長は首を振る。
「まだだ」
短い返答。
「じゃあ何で」
老人が笑う。
「作れる部分だけ先に作るんだ」
完成はしない。
設置もまだ先だ。
それでも準備はできる。
昼。
ベンチの脚だけが出来上がった。
誰かが座る。
皆が笑う。
少し不格好だった。
■最後
前へ進む方法は一つではない。
待ちながら出来ることもあった。
(次話へ)




