277/442
第278話:残った違和感
■ドラグナール竜騎帝国・第七竜騎団
演習終了後。
若い隊長は記録を見ていた。
事故なし。
負傷軽微。
帰還率良好。
数字は美しい。
それでも違和感は消えなかった。
古参教官が隣へ来る。
「まだ悩んでるな」
隊長は苦笑する。
「ええ」
窓の外。
竜たちが休んでいる。
以前より良い。
それは間違いない。
だが英雄譚のような熱も少ない。
教官は少し考えた。
「多分な」
一拍。
「皆が生きてるからだ」
隊長は黙った。
昔は失う。
だから強く記憶に残る。
今は帰る。
だから静かだ。
どちらが良いかは簡単ではなかった。
■最後
失わない強さは派手ではない。
だからこそ、新しい時代はまだ言葉を探していた。
(次話へ)




