275/442
第276話:宿帳
■橋の先の宿
共同街道局の報告で見つかった宿不足。
宿屋の主人は帳簿を眺めていた。
以前より客が増えている。
商人。
旅人。
職人。
橋が直ってから少しずつだ。
若い従業員が言う。
「部屋が足りません」
主人は頷く。
「知ってる」
困った顔ではなかった。
忙しい。
だが悪い話でもない。
夕方。
共同街道局へ報告が届く。
「宿利用者増加」
「増築検討」
係官が記録する。
橋。
街道。
宿。
少しずつ繋がっていく。
■レグナス
カイルが報告を読む。
「橋の次は宿でしたね」
ヴェルドは窓の外を見る。
「その次は店でしょう」
当然のように言った。
■最後
発展は大きな音を立てない。
橋の先に宿が増え、宿の先に人が増える。
そんな小さな連鎖が今日も続いていた。
(次話へ)




