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第273話:最初の返答
■ベルノ地方北端
朝。
役場の掲示板の前に人が集まっていた。
提出済み要望。
その横。
空欄だった場所に文字が増えている。
「ベンチ設置要望」
「検討中」
たった三文字。
それだけだった。
若者が苦笑する。
「何も決まってないな」
老人も頷く。
「そうだな」
村長は紙を見る。
そして静かに言った。
「返事は来た」
結果ではない。
約束でもない。
だが沈黙ではなかった。
その日の夕方。
掲示板の前には人が残っていた。
誰かが言う。
「次は倉庫だな」
返事を待つ空気が少し変わっていた。
■最後
小さな返答は、小さな信頼を生む。
世界はゆっくりと繋がり始めていた。
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