表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/215

第22話:本命

 帝国軍議室。


 


 空気が、張り詰めていた。


 


 これまでとは違う。


 


 軽さはない。


 


 試しも終わった。


 


 


「……報告は以上です」


 


 


 沈黙。


 


 


 誰も口を開かない。


 


 


 


「……ここまでか」


 


 


 ガルドが、低く呟く。


 


 


 


「想定以上だ」


 


 


 


「小国一つに、ここまでやられるとはな」


 


 


 


 苛立ちはない。


 


 


 ただ。


 


 


 事実を認めている。


 


 


 


「だが」


 


 


 


 一拍。


 


 


 


「ここから先は、別だ」


 


 


 


 その言葉と同時に。


 


 


 


 扉が、開いた。


 


 


 


 重く。


 


 


 ゆっくりと。


 


 


 


 足音が響く。


 


 


 


 一歩。


 


 


 


 また一歩。


 


 


 


 その場の空気が、変わる。


 


 


 


 誰も、言葉を発しない。


 


 


 


 ただ一人。


 


 


 


 入ってきた男を見ていた。


 


 


 


「……遅い」


 


 


 


 低い声。


 


 


 


 感情はない。


 


 


 


 


「申し訳ありません」


 


 


 


 ガルドが、わずかに頭を下げる。


 


 


 


 その姿に。


 


 


 


 周囲の者が、息を呑む。


 


 


 


 


 ――あり得ない。


 


 


 


 あのガルドが。


 


 


 


 頭を下げている。


 


 


 


 


「状況は聞いた」


 


 


 


 男が言う。


 


 


 


 


「小国一つに、手間取っているらしいな」


 


 


 


 


 事実。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 その言葉には、わずかな“失望”が混じっていた。


 


 


 


 


「……宰相が異常です」


 


 


 


 ガルドが答える。


 


 


 


 


「戦わずに、すべてを崩してくる」


 


 


 


 


「読めない」


 


 


 


 


「だから時間がかかっています」


 


 


 


 


 


 男は、少しだけ考え。


 


 


 


 


 


「名は」


 


 


 


 


 


「カイン」


 


 


 


 


 


 


 その名前が、落ちる。


 


 


 


 


 


 


「……そうか」


 


 


 


 


 


 


 わずかに。


 


 


 


 


 


 


 ほんのわずかに。


 


 


 


 


 


 


 興味を示した。


 


 


 


 


 


 


「ならば」


 


 


 


 


 


 


 一歩、前に出る。


 


 


 


 


 


 


 


「私が行く」


 


 


 


 


 


 


 


 空気が凍る。


 


 


 


 


 


 


 


「……閣下自ら、ですか」


 


 


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


 


 


 


「ここからは、無駄が多い」


 


 


 


 


 


 


 


「整理する」


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな声。


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 


 


 それは。


 


 


 


 


 


 


 


 “終わり”を意味していた。


 


 


 


 


 


 


 


「対象は」


 


 


 


 


 


 


 


「宰相カイン」


 


 


 


 


 


 


 


「それ以外は不要だ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 その言葉。


 


 


 


 


 


 


 


 完全な合理。


 


 


 


 


 


 


 


 完全な冷酷。


 


 


 


 


 


 


 


 


「……了解しました」


 


 


 


 


 


 


 


 ガルドが、静かに頷く。


 


 


 


 


 


 


 


 


 戦が、変わる。


 


 


 


 


 


 


 


 今度こそ。


 


 


 


 


 


 


 


 本当の意味で。


 


 


 


 


 


 


 


 


 一方。


 


 


 


 


 


 


 


 レグナス王国。


 


 


 


 


 


 


 


 


「……来たな」


 


 


 


 


 


 


 


 窓の外を見ながら、呟く。


 


 


 


 


 


 


 


 


 空気が違う。


 


 


 


 


 


 


 


 


 今までとは、明らかに違う。


 


 


 


 


 


 


 


 


「今までのとは、別だ」


 


 


 


 


 


 


 


 


「……そんなにか」


 


 


 


 


 


 


 


 バルガスが問う。


 


 


 


 


 


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「一つ間違えれば」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「終わる」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かな断定。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「問題ない」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 小さく呟く。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


「やることは同じだ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 戦わない。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 それで終わらせる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 相手が誰でも。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 関係ない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ