第147話:中規模国家の恐怖
■ヴァルハイン・緊急会議
空気が重い。
誰も。
最初に口を開かない。
机の上には。
ガルディア共和国。
フェルディナ辺境伯領。
両国の最新報告。
停止。
三拍。
血。
国内侵食。
都市崩壊。
全部。
現実だった。
■レオナルト
「……もう誤魔化せんな」
低い声。
参謀たちが黙る。
以前までなら。
戦術。
疲弊。
士気。
そう説明できた。
もう無理だった。
■理解
「レグナスに触れた」
「だから壊れた」
短い言葉。
だが。
誰も否定できない。
■別の参謀
「4大国へ正式報告を?」
レオナルトは少し考える。
そして。
静かに頷く。
「送れ」
一拍。
「これは中規模国家では処理できん」
空気がさらに重くなる。
敗北宣言に近かった。
■ノルヴァン公国
「避難開始」
ロイドが命令書を見る。
国境封鎖。
帰還兵制限。
接触区域封印。
全部。
以前なら狂気扱いされる命令。
だが。
今は違う。
「……間に合いますか」
副官が小さく聞く。
ロイドは答えない。
答えられない。
■エルドリア王国
「ガルディアが崩れた?」
ガレスが目を細める。
報告書。
国内侵食。
撤退失敗。
都市部発生。
一拍。
「だから言った」
小さな声。
「止まれないと」
エルドリアは。
既に理解していた。
継続国家として。
■中規模国家群
噂が広がる。
「帰還兵で広がる」
「撤退しても終わらない」
「接触したら最後」
酒場。
城。
市場。
全部で。
レグナスの名が出始める。
■変化
以前のレグナス。
小国。
宰相頼り。
変な国。
今。
“触ってはいけない国”
へ変わり始めていた。
■グランヴェルド工業連邦
「中規模国家群、恐慌状態」
技術官が報告する。
「レグナス脅威認定拡大」
一拍。
「早いな」
誰かが呟く。
だが。
当然だった。
実際に壊れたのは。
4大国ではなく。
中規模国家だった。
■アルカディア魔導皇国
「……理解が始まった」
観測官が静かに言う。
「恐怖による理解です」
一拍。
「理論ではない」
アルカディアは。
まだ理論で見ようとしている。
だから。
少し遅い。
■ドラグナール竜騎帝国
「中規模国家が震えてるか」
低い笑い。
「だから弱い」
一拍。
「壊れる前に壊せばいい」
変わらない。
どこまでも。
■セラフィス神聖教国
「……広がりました」
司祭が言う。
レグナスへの恐怖。
中規模国家群へ。
完全に。
「遅かったですね」
若い司祭が呟く。
司祭長は静かに目を閉じる。
「人は」
一拍。
「壊れるまで理解できない」
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが報告する。
「中規模国家群」
「レグナス脅威認定開始」
カイルが少し黙る。
「……広まりましたね」
ヴェルドは頷く。
「当然だ」
一拍。
「実際に壊れたからな」
「4大国より先に」
ヴェルドは静かに前を見る。
「中規模国家は」
「現実で理解した」
■ルナたち
「……怖がられ始めたね」
エリナが小さく言う。
ルナは静かに頷く。
「うん」
「でもまだ本当じゃない」
レオンが笑う。
「まだ入口だろ」
ルナは前を見る。
そして。
小さく言う。
「うん」
「4大国が壊れてからが本番」
■最後
中規模国家群は。
初めて理解した。
レグナスは。
攻略対象ではない。
触れてはいけない。
接触してはいけない。
壊れる。
その恐怖が。
4大国より先に。
世界へ広がり始めていた。
(次話へ)




