表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/152

第146話:最初の崩壊国家

■フェルディナ辺境伯領・撤退路


 


「急げ!」


 


 


怒号。


 


 


兵たちが走る。


 


 


後退。


 


 


撤退。


 


 


故郷へ向かうだけ。


 


 


それだけのはずだった。


 


 


■先頭


 


「国境まであと半日!」


 


 


伝令が叫ぶ。


 


 


空気が少しだけ緩む。


 


 


帰れる。


 


 


そう思った。


 


 


その瞬間。


 


 


停止。


 


 


三拍。


 


 


血。


 


 


先頭兵が崩れる。


 


 


■連鎖


 


また一人。


 


 


また一人。


 


 


止まる。


 


 


血。


 


 


崩れる。


 


 


「なんでだ!!」


 


 


兵が叫ぶ。


 


 


「帰ってるだけだろ!!」


 


 


誰も答えられない。


 


 


■フェルディナ辺境伯領・本陣


 


「撤退路でも発生?」


 


 


レオル・フェルディナが固まる。


 


 


報告。


 


 


全撤退路。


 


 


同時。


 


 


停止。


 


 


三拍。


 


 


血。


 


 


「……あり得ない」


 


 


副官が震える。


 


 


「領域から離れているはずです」


 


 


沈黙。


 


 


長い。


 


 


「違う」


 


 


レオル・フェルディナが小さく言う。


 


 


「離れていない」


 


 


一拍。


 


 


「もう持ち帰っている」


 


 


空気が凍る。


 


 


■ガルディア共和国


 


「第五都市で停止現象発生!」


 


 


「何?」


 


 


アレス・ガルディアが顔を上げる。


 


 


「前線だけではありません!」


 


 


「帰還兵経由で拡大!」


 


 


沈黙。


 


 


その瞬間。


 


 


全員が理解した。


 


 


持ち帰った。


 


 


戦争を。


 


 


■都市


 


市場。


 


 


人々。


 


 


普通の日常。


 


 


そこへ。


 


帰還兵が入る。


 


 


停止。


 


 


三拍。


 


 


血。


 


 


悲鳴。


 


 


混乱。


 


 


初めて。


 


 


前線外で発生した。


 


 


■崩壊


 


「封鎖しろ!」


 


 


「帰還兵を止めろ!」


 


 


「都市に入れるな!!」


 


 


怒号。


 


 


だが。


 


遅い。


 


 


既に。


 


広がっている。


 


 


■フェルディナ辺境伯領


 


「都市部でも確認」


 


 


副官の声が震える。


 


 


レオル・フェルディナは黙る。


 


 


目の前の地図。


 


 


前線だけではない。


 


 


国内へ。


 


 


広がっている。


 


 


「……終わったな」


 


 


小さな声。


 


 


誰も否定しない。


 


 


■ヴァルハイン


 


「国内侵食開始」


 


 


レオナルトが報告を見る。


 


 


顔色が悪い。


 


 


「最初の崩壊国家になる」


 


 


参謀が静かに言う。


 


 


レオナルトは頷く。


 


 


「接触した時点で」


 


 


一拍。


 


 


「もう国境では止まらない」


 


 


■ノルヴァン公国


 


「……持ち帰ったか」


 


 


ロイドが目を閉じる。


 


 


帰還兵。


 


 


撤退部隊。


 


 


補給線。


 


 


全部。


 


 


繋がっていた。


 


 


「だから観測騎士団は退いた」


 


 


副官が震える声で言う。


 


 


ロイドは静かに頷く。


 


 


「広がるからだ」


 


 


■グランヴェルド工業連邦


 


「前線限定ではない」


 


 


技術官が言う。


 


 


「接触者経由で内部侵食確認」


 


 


一拍。


 


 


「国家防衛理論崩壊」


 


 


沈黙。


 


 


それは。


 


4大国にとっても重かった。


 


 


■アルカディア魔導皇国


 


「……感染ではない」


 


 


観測官が呟く。


 


 


「だが拡大する」


 


 


一拍。


 


 


「概念汚染に近い」


 


 


空気が冷える。


 


 


アルカディアが。


 


最も嫌う領域だった。


 


 


■ドラグナール竜騎帝国


 


「面白い」


 


 


低い笑い。


 


 


「戦場が広がるか」


 


 


一拍。


 


 


「なら全部戦場だ」


 


 


誰も止められない。


 


 


ドラグナールは。


 


最初から。


 


壊れる前提で動いている。


 


 


■セラフィス神聖教国


 


「……最初の崩壊国家」


 


 


司祭長が静かに言う。


 


 


若い司祭が震える。


 


 


「助けないのですか」


 


 


沈黙。


 


 


長い。


 


 


「近づけば」


 


 


一拍。


 


 


「こちらも壊れる」


 


 


返答できない。


 


 


正しかった。


 


 


■レグナス(上層)


 


「外部」


 


 


ミレアが報告する。


 


 


「ガルディア共和国」

 


「フェルディナ辺境伯領」


 


「国内侵食開始」


 


 


カイルが青ざめる。


 


 


「……前線だけじゃない」


 


 


ヴェルドは静かに頷く。


 


 


「だから遅かった」


 


 


「接触した時点で」


 


 


一拍。


 


 


「国そのものが巻き込まれる」


 


 


■ルナたち


 


「……広がっちゃった」


 


 


エリナが小さく言う。


 


 


ルナは静かに目を伏せる。


 


 


「うん」


 


 


「最初の崩壊国家になる」


 


 


レオンが笑う。


 


 


「4大国より先に理解したな」


 


 


ルナは小さく頷く。


 


 


「うん」


 


 


「レグナスに触っちゃいけないって」


 


 


■最後


 


ガルディア共和国。


 


 


フェルディナ辺境伯領。


 


 


二国連合は。


 


撤退に失敗した。


 


 


いや。


 


 


違う。


 


 


接触した時点で。


 


 


もう。


 


 


国家そのものが。


 


 


壊れ始めていた。


 


 


そして世界は。


 


初めて理解する。


 


 


レグナスに触れるという意味を。


 


 


(次話へ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ