第148話:五国連合
■グランヴェルド工業連邦・中央会議
「中規模国家群が騒ぎすぎだ」
技術官が冷たく言う。
机には。
ガルディア共和国。
フェルディナ辺境伯領。
崩壊報告。
だが。
グランヴェルド上層は。
まだ完全には受け入れていない。
■理由
「二国連合」
「規模不足」
「戦線維持能力不足」
合理的分析。
つまり。
弱かったから壊れた。
それだけ。
「結論を急ぎすぎだ」
誰かが言う。
他の技術官たちも頷く。
4大国は。
まだ“検証段階”だった。
■一方
中規模国家群では。
恐怖が広がっている。
「触るな」
「接触するな」
「撤退しても終わらない」
噂。
恐怖。
混乱。
だが。
そこで終わらない国もあった。
■レオメル王国
「だから五国でやる」
国王。
クラウス・レオメルが言う。
重い声。
だが。
瞳はまだ折れていない。
「二国だから負けた」
「なら」
一拍。
「五国なら押し切れる」
会議室が静まる。
恐怖はある。
だが。
まだ諦めていない。
■集まった国家
・レオメル王国
・ガルディア共和国
・フェルディナ辺境伯領
・ベルサーク商業連邦
・アストラ聖騎王国
五国。
中規模国家としては。
異例規模。
地域戦争なら。
覇権級。
■ベルサーク商業連邦
「物流を完全封鎖する」
代表議長。
ディオン・ベルサークが地図を叩く。
「補給を潰せば国は死ぬ」
合理的。
普通なら正しい。
■アストラ聖騎王国
「神聖騎士団を投入する」
女王。
セレナ・アストラが静かに言う。
「現象だろうと祈りで突破する」
恐怖を。
意志で押さえ込んでいる。
■ガルディア共和国
アレス・ガルディアは黙っている。
顔色が悪い。
一度壊れた。
だから分かる。
だが。
止まれない。
「……やるしかない」
小さな声。
それは。
自分への言い聞かせだった。
■フェルディナ辺境伯領
レオル・フェルディナも沈黙している。
以前の笑いはない。
もう。
普通の戦争ではないと知っている。
だが。
だからこそ。
数で押すしかない。
■ヴァルハイン
「五国連合……」
レオナルトが報告を見る。
参謀が静かに言う。
「止まりませんでした」
レオナルトは目を閉じる。
「当然だ」
一拍。
「恐怖だけでは国家は止まらない」
沈黙。
それもまた。
現実だった。
■ノルヴァン公国
「……本気ですね」
ロイドが地図を見る。
五方向。
補給。
騎士団。
兵数。
全部。
二国連合とは違う。
「今度は本当に潰しに来る」
副官が小さく言う。
ロイドは頷く。
「だから」
一拍。
「もっと壊れる」
■アルカディア魔導皇国
「五国連合成立」
観測官が言う。
「本格侵攻準備」
一拍。
「……愚かではありません」
誰かが顔を上げる。
「え?」
観測官は静かに続ける。
「普通の世界なら」
「正しい対応です」
空気が冷える。
つまり。
普通ではない。
■ドラグナール竜騎帝国
「面白い」
低い笑い。
「今度は本気か」
一拍。
「壊れ方が楽しみだ」
ドラグナールだけが。
戦場を楽しんでいる。
■セラフィス神聖教国
「……五国」
司祭長が静かに言う。
若い司祭が震える。
「勝てますか」
沈黙。
長い。
「分からない」
一拍。
「だが」
目を閉じる。
「遅い」
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが報告する。
「五国連合成立」
「本格侵攻準備開始」
カイルが息を呑む。
「……本気ですね」
ヴェルドは静かに頷く。
「ああ」
一拍。
「今度は本当に潰しに来る」
「……どうなります」
ヴェルドは前を見る。
そして。
短く言った。
「中規模国家が完成する」
「え?」
「恐怖が」
一拍。
「確信に変わる」
■ルナたち
「……始まるね」
エリナが小さく言う。
ルナは静かに頷く。
「うん」
「今度は本気」
レオンが笑う。
「だから派手に壊れるぞ」
ルナは小さく目を伏せる。
「うん」
「世界が理解し始める」
■最後
五国連合。
それは。
中規模国家としては。
最大級の本気だった。
兵。
補給。
騎士団。
祈り。
物流。
全部を集める。
普通なら。
国家一つ消せる規模。
だが。
彼らはまだ知らない。
レグナスに対して。
“普通”が意味を持たないことを。
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