第141話:二国連合
■他視点:ガルディア共和国・中央会議室
「……本当にそこまで危険か?」
男が言う。
机には。
レグナス関連資料。
エルドリア王国。
ノルヴァン公国。
リューベル王国。
そして。
宰相カイン。
■空気
だが。
重くない。
むしろ。
少し笑いが混じっている。
「現象だの空白地帯だの」
別の男が鼻で笑う。
「戦争疲れだろう」
頷き。
同意。
それが。
中規模国家側の現実だった。
■理由
4大国ではない。
だからこそ。
現実を見る。
そして。
現実的に考える。
「レグナスは小国」
「宰相一人で支えている」
「なら」
一拍。
「その宰相を削れば終わる」
合理的。
普通なら。
正しい。
■同盟
「フェルディナ辺境伯領は?」
「乗った」
一拍。
「二国連合成立だ」
地図。
レグナス西部。
そこへ。
二方向から圧をかける。
■目的
占領ではない。
確認。
「レグナスの異常性」
「宰相カインの実態」
それを見るため。
二国連合は動く。
■フェルディナ辺境伯領
「冒険者崩れの宰相」
辺境伯が笑う。
「面白い」
一拍。
「4大国が騒ぐほどか見てやろう」
兵たちも笑う。
恐怖はない。
まだ。
誰も。
本当の意味を知らない。
■進軍
二国連合軍。
進む。
整然と。
普通の戦争として。
「止まるなよ」
笑い声。
冗談。
酒。
まだ。
普通だった。
■ヴァルハイン
「……始まったか」
レオナルトが報告を見る。
ガルディア共和国。
フェルディナ辺境伯領。
二国連合。
「止めますか」
参謀が言う。
レオナルトは首を振る。
「無理だ」
一拍。
「今の中規模国家は」
「まだ理解していない」
沈黙。
それは。
以前の自分たちだった。
■ノルヴァン公国
「二国連合……」
ロイドが目を閉じる。
「早すぎる」
副官が小さく言う。
「止まりませんか」
ロイドは静かに答える。
「止まらない」
一拍。
「理解していないからだ」
■グランヴェルド工業連邦
「中規模国家が接触開始」
技術官が言う。
「結果待ち」
短い。
だが。
全員見ていた。
4大国も。
結果を。
■アルカディア魔導皇国
「……観測継続」
観測官が言う。
「ただし近づきすぎるな」
一拍。
「今回は中規模国家側を見る」
アルカディアは。
レグナスより。
“壊れる側”を見始めていた。
■ドラグナール竜騎帝国
「二国か」
低い笑い。
「足りんな」
一拍。
「だが面白い」
ドラグナールは。
壊れる瞬間を楽しんでいた。
■セラフィス神聖教国
「……接触開始」
司祭が言う。
「祈りを」
短い言葉。
誰も否定しない。
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが報告する。
「ガルディア共和国」
「フェルディナ辺境伯領」
「二国連合成立」
カイルが眉をひそめる。
「……来ますか」
ヴェルドは静かに頷く。
「来る」
一拍。
「そして理解する」
「何をです」
ヴェルドは短く答える。
「遅かったことを」
■ルナたち
「……始まるね」
エリナが小さく言う。
ルナは静かに前を見る。
「うん」
「最初の本格接触」
レオンが笑う。
「まだ舐めてるな」
ルナは小さく頷く。
「だから来るんだよ」
■最後
ガルディア共和国。
フェルディナ辺境伯領。
二国連合。
彼らは。
まだ普通の戦争を信じていた。
宰相一人。
小国レグナス。
削れば終わる。
壊せば勝てる。
そう。
本気で思っていた。
まだ。
誰も。
“遅かった”意味を知らないまま。
(次話へ)




