■第128話:四つの反応
世界は。
同じものを見た。
だが。
同じようには。
受け取らなかった。
グランヴェルド工業連邦
「再現不能か」
低い声。
巨大な機械の音が響く中。
報告書が並ぶ。
■分析
「現象は確認済み」
技術官が言う。
「だが」
一拍。
「量産不可」
■判断
「ならば切り捨てる」
即答。
一切迷わない。
使えないものは不要。
「次だ」
アルカディア魔導皇国
「……撤退は正しい」
静かな声。
観測記録が宙に浮かぶ。
■理解
「これは術ではない」
観測者が言う。
「現象でもない」
一拍。
「“前提の崩壊”だ」
■結論
「触れるな」
短い命令。
「観測も最小限に」
ドラグナール竜騎帝国
「面白い」
低く笑う。
巨大な影が揺れる。
■反応
「止まる?」
「消える?」
一拍。
「関係ない」
■判断
「壊せばいい」
単純。
だが。
誰も否定しない。
セラフィス神聖教国
「……沈黙を維持」
白い空間。
声は小さい。
■認識
「触れてはならない領域」
誰かが言う。
一拍。
「これは“外”だ」
■判断
「関与しない」
短い決定。
「祈りを優先」
■共通点
四つの国。
全て違う。
だが。
一つだけ同じ。
“止められない”。
■ヴァルハイン
「……どう思う」
レオナルトが言う。
一拍。
「4大国ですら」
言葉を切る。
■理解者
「触れない」
参謀が言う。
「つまり」
一拍。
「対処不能」
■確信に近づく
ここまで来た。
だが。
まだ。
言い切れない。
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが言う。
「4大国、方針分裂」
一拍。
カイルが呟く。
「……すごいですね」
■評価
「当然だ」
ヴェルドが言う。
「理解していない」
■核心
「だが」
ヴェルドが続ける。
「どれも正しい」
■意味
誰も理解していない。
だが。
全員。
“触れてはいけない”ことだけは分かっている。
■ルナたち
「……全部違うね」
ルナが言う。
「でも同じ」
レオンが笑う。
「ビビってる」
エリナが小さく言う。
「……怖い」
■最後
世界は。
分裂した。
考え方も。
対処も。
だが。
一つだけ。
共通していた。
これは。
止められない。
その理解だけが。
静かに広がっていた。




