■第122話:歪んだ噂
戦いは。
止まっていない。
だが。
話は。
広がっていた。
■中規模国家(酒場)
「聞いたか?」
男が言う。
「戦線が一瞬で消えたらしい」
一拍。
「また誇張だろ」
■噂①(軽視)
「どうせ魔導だ」
別の男が笑う。
「派手な術だろ」
一拍。
「よくある話だ」
■噂②(恐怖寄り)
「いや違う」
低い声。
「“なかったことになった”って話だ」
一拍。
空気が少し変わる。
「……なんだそれ」
■噂③(名前付き)
「覇断騎士団って知ってるか?」
小さく。
誰かが言う。
一拍。
「……やめろ」
即座に止められる。
■抑制
「その名前は出すな」
低く言われる。
一拍。
理由は言わない。
だが。
誰も逆らわない。
■別の国(会議)
「戦線消失の件」
将が言う。
「どう見る」
一拍。
「誤報です」
即答。
■噂④(否定)
「そのような戦力は存在しない」
参謀が言う。
「記録にもない」
一拍。
「つまり存在しない」
■思考停止
説明できないものは。
存在しない。
そう処理される。
■バルザーン帝国(内部)
「外部で名前が出始めている」
報告。
「覇断騎士団」
一拍。
静かな空気。
「……放置だ」
短い判断。
■理由
「出ても問題ない」
淡々とした声。
「どうせ理解されない」
一拍。
それが事実。
■ヴァルハイン
「噂が広がっています」
参謀が言う。
「覇断騎士団」
一拍。
レオナルトが目を細める。
「遅い」
■理解者側
「現象」
参謀が続ける。
「外部崩壊」
一拍。
「ジョーカー」
線が繋がり始める。
■だが未完成
「……確証がない」
低く言う。
一拍。
「まだ足りない」
■レグナス(上層)
「外部」
ミレアが言う。
「噂拡散中」
一拍。
カイルが呟く。
「……バラバラですね」
ヴェルドが答える。
「当然だ」
■分析
「理解していない」
ヴェルドが続ける。
「だから歪む」
一拍。
「そして広がる」
■ルナたち
「……面白いね」
ルナが言う。
「全部違う」
レオンが笑う。
「でも怖がってる」
エリナが小さく言う。
「……どうなるの」
一拍。
ルナは静かに言う。
「まだ広がる」
■最後
真実は。
広がらない。
だが。
噂は広がる。
歪んだまま。
それでも。
恐怖だけは。
正しく。
伝わっていく。




