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軽キャンで異世界無双したおっさん、気づいたら国を作るんですか?やっぱり嫁がすきですね。  作者: カネキ
第10章 ウィズの嫁さん、俺の嫁さん編

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95話 お前は?!

何で、お前がここに?

いや、そんなハズはない。

だって、お前は……

バサッバサバサ……



 コウモリのような黒い翼を羽ばたかせ、男は空中に浮かび、村を見下ろしていた。

 その足元では、オーガの男たちが呻き声をあげながら倒れている。


 空気が一瞬で張り詰めた。


 そして、俺たちの目の前にいたのは――


 死んだはずの男!



「ギナ! 生きていたのか!」


 思わず叫んだ俺の声に、空中の男がこちらを向き、ゆっくりと降下してくる。



「お前……

 人間風情が、兄の名を軽々しく呼ぶな。

 そもそも……何故その名を知っている?」


 地面に降り立った男が、低い声で言った。


 は?


 ……ギナじゃないのか?


 髪の色は青で違うが、顔はどう見てもギナ。

 双子か? いや、そんな設定は聞いてないぞ。


 混乱する俺。



「俺の名はギア。

 ギナは俺の兄だが……。

 もう一度聞く。

 貴様、ギナを知っているな?」


 ギアと名乗った男が、ゆっくりと俺に近づいてくる。


 うん。

 ギナじゃなかったみたいで、完全に人違いだったようだ。

 間違っちゃった。

 ギナじゃないなら、俺には関係ないし、用事もない。


 じゃあ、帰るか。



「いえ、知らないです」


 俺は即答し、その場を立ち去ろうとした。



「いやいやいや、ちょっと待て!

 お前さっき、思いっきりギナって言ったよな?!」


 ギアが小走りで追ってくる。


 ああ……

 面倒くさそうなのが来たぞ。

 面倒事に巻き込まれないように、知らぬ存ぜぬで通そう。



「ギナなら、俺たちが倒したぞ!」


 ウィズ?



「ばっ、バカ!

 何で余計なことを言ったの?

 本当に、お前はなんなの?」


 ギアを見ると、案の定、顔つきが変わっている。


 なんか兄弟的な事言ってたし。

 ウィズは、なぜ自分から復讐の対象者だと白状するような真似をしたんだろう。

 本物のバカなんだろうか?


 いや、そんな事を考えている場合ではないな。


 やばい。

 これは非常にやばいんだろ?


 どうする?

 どうするよ!



「嘘をつくな。ギナが人間に負けるなど、あるわけがない」


 ギアが薄く笑う。


 助かるー。



「そうですよねぇ。

 じゃぁ、僕らはこれで……」


 俺は愛想笑いを浮かべ、そっと後ずさる。



「待て!

 お前、ギナの事を知ってるんだから、アイツの居場所を知っているんだろう?」


 ギアに呼び止められたが、聞こえないフリだ。


(消し飛んだから、居場所なんて知るわけがねぇ。

 骨も残ってないよ。

 そんなん言えるか!)


 無視して歩くぞ。



ガッ!



 マジか……

 肩を掴まれたぜ。



「なんで、さっきからすぐ帰ろうとする?」


 ギアがイラついた声で言ってくるけどさぁ、


(はいっ! 面倒なことになりそうだからです!)


 なんて言ったらもっと面倒になるのは目に見えてるので、俺はただ嫌そうな顔をして黙った。



「貴様、この村に何用だ!」


 オーガの男がこん棒を握りしめて叫ぶ。


 よし、もっと言え! と俺は心の中で叫ぶ。


 ギアが俺から離れ、オーガに向き合った。


 このまま逃げるか?



「このような所、進軍の途中に寄ったまでだ。

 もうすぐ我が軍が到着して、こんな集落など簡単に皆殺しだ。

 命が惜しければ泣いて命乞いでもするんだな。

 家畜として飼ってやることを検討してやってもいいぞ、ハハハ」


 ギアが笑った。


 皆殺しか家畜って?

 なんだ、その最悪な2択。


 このクソ野郎は性格が終わってる。



「ふざけるな!」


 オーガがこん棒を振り上げて突っ込む。



「頑張れ!

 そんな野郎は、ボッコボコにしてやれ!」



バシュッ!



 オーガの胸をギアの触手が貫いた。


 そのまま持ち上げ、ギアは周囲の恐怖を楽しむように笑っている。


 なんて酷い奴だ!



「みんな、頑張って、あのクソ野郎をやっつけてやれ!」


 怒り心頭の俺が叫ぶが、誰も行かない。


 いや、目の前でこの光景を見せられたら二の足を踏むのもわかるけどさぁ。

 仲間がやられたんだぞ!



「次に死にたい奴は誰だぁ?

 俺の気が変わらない内に、早く命乞いをした方がいいんじゃないかぁ?

 検討すら却下になっちまうぞ。

 ……あと、お前さっきから威勢がいいけど、なんなの?

 死にたいのか?」


 ギアがニヤつきながら俺を見る。



(いや、なんで俺を見るんだよ!

 ウィズを見ろよウィズを!

 自慢じゃないが、俺単体の戦力などカスだから俺を倒しても自慢にならんぞ!)


 俺は、男らしくギアを睨みつけてやった。



「うらぁああああ!!!」



ガッツツ!!



 ギアの頭が欠けて、大きくのけぞったぞ?!



「ウィズ!」


 あいつ、その手にしたこん棒で、渾身の一撃を叩き込んだんだな!


 フラフラと与太っているギアは何が起きたのかわからないようだ。


 教育上よくないから詳しくは言わないが、グロくて俺が吐きそうだ。



 強烈な衝撃を受けのけぞったギアは、触手で持ち上げていたオーガを落とした。



「おい! 今だ、救出しに行くぞ!」


「お、おう」


 近くのオーガに指示して傷ついたオーガを素早く救出。



「貴様ァ……

 ふざけた格好しやがって」


 頭が半分陥没したギアがウィズを睨む。


 確かにウィズはふざけた格好だが、今はシリアスだぜ!


(※ヒロシは、ふざけた格好の原因の一人である)



「罪もない人々を傷つけるなんて、常識は無いのか!」


 ウィズが胸を張って言った。



「……いや、お前の格好の方が常識ないけどな」


(※ヒロシは、ふざけた格好の原因の一人であるのに、この発言!)



「貴様らぁ!

 今更、命乞いしても遅いからな!

 皆殺しだーー!!!」


 ギアが怒り狂った。


 やばいパターンだ。



「ウィズ!

 休むな、ラッシュ!!」


 俺は即座に指示を飛ばす。



 ウィズが凄まじいスピードでギアに突っ込み、

 そのこん棒が雨のようにギアへ降り注ぐ。



「連撃で、ギアに余計な真似をする隙をあたえるなよ、ウィズ!」


 俺は、冷静にオーガたちへも指示を飛ばす。



「戦える者は準備!

 戦えない者は避難を手伝え!

 命令だ、さっさと動け!」



 俺の迫力に負けたのか、オーガたちが一斉に動き出した。



「い、いい、いいいい加減にしろぉー!」


 ギアが完全にキレた。


 だがウィズは滅多打ちを止めない。


 俺もラッシュの終了は指示していない。



 ギアの体がズタズタになっていく。



「ウギャァァァーー!!!」


 村にギアの叫び声が響き渡る。


 その叫びは、まるで――

 地獄の底から響く断末魔のようだった。

ウィズは単なる面白おバカキャラではないのだよ。

アイツは、俺たちよりもベテランの冒険者でAランクだった男だぜ。

ギア、俺たちを舐めるんじゃねぇ!

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