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第80話 勇者の処遇・中編

キャンピングカーの所有者登録の変更というものをしてみたが、うまくいくのだろうか?

まあ、ダメもと何で軽い気持ちでやってみよう。

『所有者登録の変更を行います』


 ナビのアナウンスが流れ、画面には、




Yes ・ No




 の二択が表示されていた。


「ほら、手ぇ貸せ」


 俺は前川の手を軽く持ち上げ、

 画面の「Yes」に触れさせた。




『新規所有者の登録を行います』


 続いて、画面に新しい文字が浮かぶ。




【 新規登録者は、画面をタッチしてください 】




「二人とも、手を貸せ」


 俺はルファスとキャスカの手を取り、

 三人で同時に画面へ触れた。




シュワッ――




 柔らかい光が、俺たちを包み込む。

 肌に微かな温度を感じ、視界が白く揺れた。


「ヒロシ! 何これ?」


 キャスカが驚いた声を上げる。


「大丈夫だ……たぶん」


 俺だって初めてなんだから……本当に大丈夫なのか?



 怖いんですけど!



「キャスカー!」


 ルファスがキャスカを抱き寄せる。

 キャスカは少し戸惑いながらも、ルファスの腕を受け入れていた。


「モガモガモガ」


 シーツとナイロン紐を使って運転席に固定しておいた前川が何か言っている。

 余計な事しか言わないので、猿轡をしておいたのに元気だな。





『新規登録が終了いたしました』


 ナビのアナウンスが流れ、光がすっと消えた。



 俺たちは顔を見合わせる。


「ルファス、キャスカ……これで、このキャンピングカーの所有者は俺たちになった……はずだ」


 俺はキーを回す、登録前のように弾かれることが無い。


「いけそうだ」


 完全にキーを回転させ、エンジン、始動!



ブルルル……



 問題なく始動した。


 続いてルファス、キャスカも試したが、

 どちらも普通にエンジンがかかった。


 ――これで正式にこのキャンピングカーは、俺たちのものだ。



「ありがとう、前川。

 お金持ちのお前にとっちゃ税金対策のオモチャで、使ってなかったって言ってたよな?

 これからは俺たちが大事に使ってやるからな。

 喜んでいいぞ。

 俺たちが人が良くて良かったな」


 前川は何か言いたげに体を揺らしていたが、

 布に包まれているのでよく分からない。

 よっぽど嬉しいんだろう。知らんけど。



 その後、俺はみんなを焚き火の前に集めた。


「はい、みんな集まったね?」


 俺が立ち上がると、全員がこちらを向く。



「それじゃ、今回キャンピングカーを提供してくれた、

 前川 彰くんでーす!」


 俺は海苔巻きのように布に包まれた前川を指差した。


「モガモガモガ」


 前川は芋虫のように揺れちゃって、ダンスか?

 ひょうきんな奴だ。



「さて――この勇者様をどうするか。

 みんなで話し合いたいと思います。

 意見のある人は手をあげて」


「はい!」


 元気よくウィズが手をあげた。


「はい、ウィズ」


「お腹が空いたので、食事が終わってからにしませんか!」


 ……想定内だ。


「ウィズ、サクッと終わらせるから、これ食べて我慢しろ」


 俺はチョコチップスナックパンを渡した。



 ウィズは袋を開けてモシャモシャ食べ始める。

 すぐに手をあげたので、水を渡すと、

 満足したように静かに食べ続けた。



「他には? どうした、みんな?」


「……」


「……」


「……」




「なかなか意見が出ないようだねぇ」


 まぁ、急に言われても困るよな。



「じゃあ――前川くんを生かしたい人、手をあげて」


 俺は多数決で決めることにした。


 ……が、誰も手をあげない。


 前川は不安そうにこちらを見ている。

 俺としては、キャンピングカーも手に入ったし、どうでも良くなってきているのだが……

 民主主義国家の一員だった俺としては、多数の意見を尊重しないとな。



「えー、残念だが――」


 俺が言いかけたその時、

 フィリーがそっと手をあげた。



「ん? フィリー、どうした?」


「いや……その人の意見も聞いた方が、いいんじゃないかと思うですぅ?」


 フィリーは恥ずかしそうに言った。

 その控えめな優しさに、カイが小さく頷く。


「そんな必要ある……?」


 めんどくさくなってきてた俺がボソッというと、フィリーが泣きそうになってしまった。


「酷いですよ、ノガミさん!」


 カイが俺を睨んで抗議してきた。

 確かに不用意な発言だったと思って反省してるんだから睨むな。


「いや、そうだよな。

 ちゃんと話を聞くのは大事だ!

 アレの猿轡外しちゃおうね。うん」


 俺はフィリーの意見を尊重し、前川の口元を覆っていた布を外した。


「殺さないでください」


 前川の第一声は、それだった。




 俺は腕を組み、どうするか考える。


 多数決は出ている。

 でも、フィリーの言葉も無視できない。

 どこぞの将軍様のような独裁者だったら悩まないんだろうけど、民主主義で育った日本人だから、俺。



「うーん……どうすっかなぁ」




 そして、俺が悩んだ末に出した答えは――




 次の日――


多数決でホントに良いのだろうか。

悩んだ末に出した答えとは?

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