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軽キャンで異世界無双したおっさん、気づいたら国を作るんですか?やっぱり嫁がすきですね。  作者: カネキ
第11章 Sランク冒険者編

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第107話 村長の正体

野盗を倒した俺とルファスはお礼がしたいとのことで村長の家に向かっていた。

ルファスが倒した野盗から追い剥ぎした村長と村人は戦利品についてあれこれ言いながら歩いている。

手慣れてないか?

「なぁ、ルファス。

 もうこの村と関わるのやめるぞ。

 恩返しのお礼もらったら、さっさと家に戻ろう」


「ヒロシさん! 野盗に襲われて困っている村や、こんな老人を見捨てるんですか!」


 ルファスが真剣な顔で……。


「はあ?」


 正気かルファス。


 先導して歩く村人達を見ると、野盗の装備品を全部剥ぎ取った村長が、村人に「ほれ、持ってけ」と指示している。


「しけた野盗だな、こんな物しか持ってなかったのじゃ。

 財布の中はどうなのじゃ?」


「村長、これっぽっちしか」


「なんだよソレ。

 殴られ損か? それなら最初から……」


 会話が聞こえてくるけど、

 ……あれが哀れな老人か?


「いや、ルファス。

 コイツらなら自力で戦えそうだし大丈夫だろう」


 俺が呆れて言った瞬間――


「ゴホ、ゴホ……旅のお方、この哀れなジジィと、この村をお救いくだされ……」


 村長が急に弱々しい声を出した。


(いやいやいや!

 さっきまで元気いっぱいで追い剥ぎしてただろ!

 それに今だって、しけた野盗とかなんとかって!)


「ほら、ヒロシさん!

 可哀想じゃないですか!」


 ルファスが完全に信じてしまっている。

 なんでそうなる。


(……俺が悪いのかも?)


 そんな訳があるか!

 ルファス、騙されてるぞ。


「ダメ、ダメ!

 あのな、ルファス。

 野盗の残党は今回のより少ないって村長が言ってたろ?

 なら、ここにいる村人だけでも十分対処できるだろう。

 ここにいない村人入れたら結構な人数いるよ。

 さっきの野盗も人質に使うって村長も言ってたし」


 俺が言うと、村長が露骨に不機嫌な顔をした。


(なんだよ、その顔……?)


「チッ」


 今、舌打ちしなかったか?


(いやいや……哀れな老人設定だったのが舌打ちってどういう事?

 俺の中の警戒レベルが一気に赤ランプなんだが)


「それじゃぁ、お前ら金目の物を置いて、とっとと出ていけ」


 村長が言い放った。


「え?」


 ……本性を表したって事か?


(言い方が完全に『野盗のそれ』なんだよな……

 こいつ、絶対この村の村長じゃねぇな、確定)


 付近の家々から、男達がぞろぞろと出てくる。


「なんだ、貴様ら!」


 ルファスが叫ぶ。


 俺とルファスは、村人に囲まれた。


「おじいさん! これは、一体……」


 ルファスが驚いて村長に聞く。

 いや、気づけ、ルファス。

 怪しすぎだっただろ、こいつ等


「オメーはバカか?」


「なっ!」


「落ち着け、ルファス。

 おいっ!

 貴様、俺の仲間をバカにして、無事でいられると思うなよ」


 村長を睨みつける。


「かっこいいねぇ。

 おとなしく金を寄越せば死ぬ事もなかったのにな!」


 村長がゲラゲラ笑った。


(ほらね……コイツ、完全に悪党じゃん)


「おい、最初から気になってたんだが、この村の本当の住民達はどこにいる?」


 俺が村長に聞くと、村長は黙った。


「……いつ、気づいた?」


 村長が俺に聞いてきた。


 弱々しいジジィは、もうどこにもいない。


「フッ……」


 俺は自信満々に笑ってやった。


(実際は何も気づいてなかったけどな!)


「そうか……

 そうだよ!

 野盗の俺達がこの村を乗っ取ったのよ!

 元の住民なんて、全員始末していねぇよ、残念だったな!」


「何てことを!」


 ルファスが怒りで剣に手をかけた。

 落ち着け。

 ルファスの肩に手を置くとルファスが俺を見て、少し落ち着いたようだ。


「お前ら酷いな。普通に引くぞ」


 野盗の連中はヘラヘラと……

 虫唾が走るな。


「この村に俺達とは別の野盗がきて……そいつらの財産も奪う計画だったのになぁ。

 テメー等が余計な事をしてくれたおかげて台無しだぜ。

 その分の補填を、お前らがするのは当然だろうが!」


 聞いてないのにペラペラと白状してくれたが、自分勝手すぎるだろう。


 どうせ俺達をここで始末するから平気で何でも白状するんだろうけどね。


 だが、甘い。


「バカだねー、お前ら。

 俺達に勝てるとでも?」


 ホント、バカ。

 さっきのルファスの戦い見て無かったのかよ。

 俺が笑って言うと――


「バカはお前だ!

 お前らの仲間が、まだ、無事だといいな!」


 村長がニヤリと笑った。


 ……仲間?


 レイラ達の事か?


 レイラ達に……何をする?


 何をするつもりなんだ!


「お前、死んだぞ」


(俺の中で何かが『プツン』って切れた音がした)


 怒りが爆発した俺は、魔導式自動転送装備装置を作動させた。


 真っ白な制服に身を包んだ俺の手には、棒が握られている。


 棒が、赤く光り始めた。


「なんだ? 今まで、こんな事なかったぞ!」


 棒の変化に俺自身が一番驚いた。


「手加減しない。殺す!」


 ルファスが怒りで震えている。


 ロングソードに炎が纏われた。


「なっ、なんなんだ、お前らっ!」


 村長達が後退りする。


「構うな! ぶっ倒せ!」


 村長の号令で、村人達が一斉に襲いかかってきた。


 俺とルファスは武器を構える。


「でりゃぁぁーー!」


 ルファスの剣が振られるたびに、

 襲いかかってきた村人達が次々と倒れていく。


(かなり怒ってるな……

 当然。

 ルファスがキャスカに……

 愛する人間に危害を加えようとした奴らを許すわけがない)


「それは、俺も同じだけどな!」


 俺も棒を振る――


ブンッ!


(あれ? 軽っ?)


 そう思った瞬間、棒が敵に当たり――


バシュッ!


 敵が水風船のように弾けた。


(……え?

 何だ今の?

 棒で殴っただけなんだけど……

 いや、グロいのは見たくないからソフトタッチでいこう!)


 俺は『弾けないように』優しく棒を振る。


 だが、棒が触れただけで敵は吹っ飛んでいった。


(優しくポンってしてるのに!)


 次々と倒されていく村人達。


 村長の顔がひきつっていく。


「もう少し……もう少しなんだ!」


 村長が祈るように呟く。


(何を待ってる?)



 そして、村長以外の敵はいなくなった。


「思ったより早かったな」


 俺が言うと、ルファスが村長を指差してニッコリ笑った。


「ヒロシさん、アレ、私がやっても?」


 うーん……


「殺すな。

 お前の剣が汚れる。

 これ使いな」


 俺は棒を渡した。


 棒は結構前から元の色に戻っていた。

 叩くと弾ける事も吹っ飛ぶこともない、ただの棒だ。


「ありがとうございます」


 ルファスは村長へ歩いていく。


 一歩、また一歩。


「や、やめ……」


 村長は恐怖で動けない。


スパーン!


「ぶべらっ!」


 ルファスが村長の頭を軽く叩いた。


(軽く……だよな?

 凄い音したんですけど)


「ん?」


 ルファスが村長の服を脱がせ始めた。


(え? ルファス……?

 守備範囲広すぎない?)


「ヒロシさん!」


(やっぱりだ!

 一緒にって事か?!

 いや、無理だって!)


「悪いが、そう言った――」


 恐る恐る見ると、


「あれ?」


 村長の身体は筋骨隆々のムキムキだった。

 とても老人とは思えない体。

 どう考えても若い。


「テメー! ジジィじゃねーな!」


 俺が言うと、村長モドキが『てへ』と笑った。


 イラついたので棒で殴ると、村長モドキは鼻血を出して気絶した。



 集落の中を走る影が二つ。


「ヒロシさん! 早く!」


 ルファスが叫ぶ。


「さ、先に行って~」


 俺は死にそうになりながら走る。


「すいません!」


 ルファスはスピードを上げて走り去った。


(俺だって昔はクラスで6番目に早かったのに……

 キラッ……じゃねぇ!)


 ゼーハー言いながら必死に追いかける。


 心臓が破けそうだ。


 軽キャン家モードの場所に着くと、ルファスが突っ立っていた。


「ゼー……な、何……やってるん……だぁ……」


 俺はゾンビのようにフラフラしながら言った。


「あ、ヒロシおかえりー」


 レイラが駆け寄ってくる。


 その手には、屈強な男の頭を掴んで引きずっていた。


(怖っ!)


「……」


 絶句。


 辺りには沢山の男達が倒れている。


 呻き声をあげて苦しそうだ。


(……だよな。

 ここに攻め込むなんて自殺行為でしかない)


「ヒロシがいなくて、怖かったゾ」


 レイラは可愛く言ったつもりなんだろう。

 だが、男を引きずってる姿は恐怖でしかない。


「ぶ、無事で……よか……よかった」


 俺はぎこちない笑顔で言った。


「家に入りましょう!」


ポイッ!


 レイラが男をゴミのように軽く投げ捨てた。


「片手で?!」


 レイラの目が怖かったので口を噤む。


 他のメンバーも外にいた。


 ウィズとバンが、ユリスとライカの戦闘訓練に暴漢を使っている。


「おい弱すぎだろう!

 もっと真剣に来ないとユリスの訓練にならないじゃないか」


 ウィズ……


「さ、さっきから死ぬ気で向かってます!

 このオーガの女が強すぎて……もう、いやだ!」


 暴漢が無理やり立たされた。

 手には武器を持っていたが、投げ捨てた。

 もうやりたくないみたいだ。


「失礼な!

 一般人よ、私!」


 ボクシング経験者みたいな構えのユリスが失敬な見ないな事を言ってる。

 ジャブが早すぎて見えないのだが……


「俺の嫁さんを『女』とか乱暴な言い方をするな!

 ユリスが怖がるだろう!」


「ひいいいい」


 なんだが、悲惨な事になってる。


 バンの方は……


「ああ……」


 ライカが殴って倒れた暴漢に膝を入れていた。

 MMAの経験者なのかな?



「まだ、やってますの?」


 あくびをしながらキャスカが家から出てきた。


 寝てた?


 キャスカが戦ったらこの辺消し飛んでただろうから、参加してくれてなくて、ありがとうだよ。


 まあ……兎に角、全員無事で何よりだ。

 


 暴漢はズタボロになりながらも、やめる事を許されないみたいだが、自業自得だ。


(……レイラ達への心配なんて、これっぽっちもいらなかったな)



次の日ーー


 悪党どもを放置して出発する事にした。


 アレだけの怪我だ。

 しばらく悪さなど出来ないだろう。


 ……生きていたらな。


「さぁて、街を目指しますか!」


 今回の一件で『嫁さんを怒らせてはいけない』と心に誓い、俺は颯爽と軽キャンを走らせた。


 ルファスのキャンピングカーも後ろからついてくる。


「おっ!」


 集落のはずれに道が現れた。


「この道を進めば街は近いぞ!

 ……多分だけど」


 ちょっとしたいざこざがあったが、

 良い修行になったと思いつつ、俺達は集落を後にするのだった。

本当のこの村の住民達、かわいそうだったな。

一応、かたきは取りましたから成仏してください。

そう手を合わせたら、出発だ。

道もでてきたし、街はきっと近いぞ!

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