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軽キャンで異世界無双したおっさん、気づいたら国を作るんですか?やっぱり嫁がすきですね。  作者: カネキ
第11章 Sランク冒険者編

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第106話 怪しい集落

全然、街に着かない。

コレだけつかないと、車内の空気も微妙になってくるな……

 適時休憩を取りつつ草原を抜け、林を抜け、森を抜け、さらに山道へと入っていく。

 景色はどんどん変わるのに、俺の頭の中はずっと同じ質問でいっぱいだった。


「街の場所わかって進んでる?」


 そんな質問が後部座席から飛んできたので、正直に「知らない」と答えておいた。


 ……そしたら、なぜか軽い吊し上げにあった。


(いや、俺に言っても無駄だろ……地図なんて無いし。

 カーナビのマッピング機能は通った場所しか記録されないんだから。

 初めて通る場所が俺に分かってたまるか!)


 文句を言いながらも、結局みんなは「ここまで来たら進もう」という結論に至った。

 そう、兎に角前に進むしかないのだ。



 山を一つ越え、辺りが暗くなり始めた頃――

 ぽつりと灯りが見えた。


「集落だ!」


ブロロローー……


 やっと人の気配がする場所に到達!

 アクセルを踏む足に力が入る。


ブロロローー……


「なんだ、ここ?」


 集落に入ったのでスピードを落とす。

 窓の外を覗くと、すれ違う人々の顔がどこか暗い。


 男の人が多い……

 いや、男しか見えない。

 時間が時間だから、女性や子どもは家の中で食事の準備でもしているのだろう。


 それにしても、疲れているのか怯えているのか……とにかく雰囲気が重い。


(なんか嫌な空気だな……

 こういう時の嫌な予感って当たるんだよな。

 まあ、関わりあわなければ問題ないか)


「暗くなってきたし、今日は、この集落で休もうか?」


 俺は集落の外れに軽キャンを停車させ、変形機能で家を出現させた。

 ルファスは家の横にキャンピングカーを停める。


 小さな集落だ。

 食堂も無さそうだし、今から探すのも面倒だ。

 自炊でいいだろう。


「見るべき物もなさそうだし、通り抜けるだけになるかもしれないな」


 食事の準備が終わるまで、俺とルファスは家の外でキャンピングカーに乗り込み、機能を調べることにした。


「カーナビのここを、こうするだろ」


 俺がタッチパネルを操作して説明する。


「あー、そうか!

 それじゃ、こうしてたら機能の取得が出来たんですね」


 ルファスが新機能の取得方法を理解し、いくつかの機能を取得していく。


(でも、俺の軽キャンと違って『家が出る』とか『回復薬が作れる』とかは無いんだよな)


 考えても答えが出ないものを悩んでもしょうがない。

 燃料補充や物資補充など、基本機能は同じだが、追加機能はレベル次第って事なのか?

 ただ、なんだか増えなさそうな気がする。


 ん?


「おい、ルファス。あれ」


 俺が指差した先――

 ルファスが顔を上げると、ガラの悪そうな集団が見えた。


 その前で、老人が必死に何かを訴えている。


「「あっ!」」


 俺とルファスが同時に声をあげた。


 老人が殴られたのだ。


 殴った奴が倒れた老人を起こして、連れ去ろうとしてる!


「行くぞ!」


 俺はドアを開けて外に飛び出した。



 集落の広場に到着すると暴漢が老人を引っ張って倒した。


 急がなければ!


「村長!

 俺たちに渡す食料と金が無いとは、どう言う事だ? あぁーん!」


 モヒカン男が、倒れた老人を見下ろして怒鳴っている。

 会話から老人が村長だと分かった。


(ああいう輩がいるから、村の雰囲気が悪かったんだな)


「昨日渡した分が全てですじゃ……

 村には、もうお渡し出来るような食料や金などないですじゃ……」


 必死に弁明する村長を、モヒカン男は容赦なく殴りつけた。


「ひいぃ」


 おじいちゃん村長が地面に倒れ込む。


(うわっ……これは助けないとダメなやつだろ)


「バカ野郎!

 昨日の分は昨日の分だろう!

 だから今日の分を受け取る為に、わざわざ来てやったんだぞ?

 そんな律儀な俺たちを裏切る気なのか?おい!」


 モヒカン男が村長を踏みつけようと足を上げ――


「はい、ドーン!」


ドガァッ!


 俺のドロップキックがモヒカンの顔面に炸裂した。


 モヒカンの顔が俺の足に押されて歪む。


ドガァーーン!!


 モヒカンが吹っ飛んだ。


 俺も勢い余ってその場に倒れた。


「イテテ……

 やりなれない事はするもんじゃ無いな。

 普通に走って蹴れば良かった」


 立ち上がって汚れを払っていると、モヒカンの仲間が俺を取り囲んでいた。


(あ、これ囲まれてるやつだ)


「何やってるんですかー?」


 ルファスが走ってくる。


「ルファス、早く来いっ!

 おじいちゃんに暴力をふるうこいつら、世紀末モヒカン野郎達は野盗か山賊の類だ!」


 俺の言葉に、ルファスの目が怒りで鋭く光った。


「駆除しますか?」


「殺さないように、懲らしめてやりなさい」


「わかってます。

 手加減するんで安心してください」


 俺の指示で、ルファスが魔導式自動転送装備装置を作動させた。


カッ!


 光に包まれたルファスはフル装備状態に。

 手にはロングソード。


 斜に構えたルファスが、モヒカンの集団に向けて剣を向ける。


(やれ! がんばれ、ルファス!)


 俺はルファスの後ろに回り、危険が及ばないように待機した。


「去るか、倒されるか決めろ」


 ルファスが静かに告げる。


(甘いぞルファス……

 逃がしたら、また悪さしに来るぞ、こいつら)


「なんなんだテメーら! ぶっ倒してやる!」


 モヒカンの集団は、逃げるどころかルファスに向かって突っ込んできた。


(バカだな……いや、バカで助かった!)


「ルファス、全員逃がすな!

 二度とバカな真似が出来ないように捕まえるぞ!」


「はい!

 任せてください、ノガミさん!」


 次の瞬間――

 ルファスの姿がふっと消えた。


(え? 速っ!?)


 気づけば、モヒカンの一人が宙を舞っていた。


 ルファスの剣が振られるたびに、


ガンッ!

ドスッ!


 と鈍い音が響き、敵が次々と地面に転がっていく。


(いや、速すぎて見えねぇんだけど?

 本当に手加減してくれてますよね?!)


 モヒカン達は叫びながら突っ込んでくるが、

 ルファスの剣筋は最小限で、無駄がない。


 足払い、柄打ち、峰打ち――

 どれも正確で、痛そうなのに致命傷にはならない。


(ちゃんと『殺さないように』してるのが分かるのが逆に怖い)


 最後の一人が突っ込んできた瞬間、

 ルファスは軽く身をひねり、相手の腕を掴んで地面に叩きつけた。


ドサッ!


 静寂。


 モヒカンの集団は、全員地面に転がっていた。


(……うん、ルファス。

 更に強くなってないか?)


「どこの誰かは存じませんが助かりましたですじゃ!

 ワシは、この村の村長をしているのですが、この腐れ野盗に村が強請を受けておりましたですじゃ!」


 村長が、倒れた野盗を踏みつけながら言った。


「村長、踏んでる。

 野盗を踏んでるって」


 俺が言うと村長が野盗から降りた。

 その際、踏んでた野盗に蹴りを入れてるし。


(村長……)


 辺りの家から男たちが出てくる。


(なんだ、若いのもいるじゃないか。

 おじいちゃん村長一人を野盗に差し出して、家の中で様子を伺ってたって事?

 なんて奴らだよ……)


 出てきた村人たちが手際よく野盗を縛り上げていく。


「なぁ、ルファス。

 みんな手慣れてるけど、治安が悪いのか?」


「どうなんでしょう?

 兎に角、村長も無事みたいで良かったですけど……」


 俺とルファスがひそひそと話していると――

 村長と村人が一緒に、野盗の武器や防具、財布を剥ぎ取り始めた。


(……たくましいね

 貧しい村の貴重な収入源って事なんだろうな)


「じいさん、野盗はこれで全部か?」


 俺が聞くと、村長は追い剥ぎ作業を続けながら答えた。


「どうでしたかな?

 前に来た時は、まだ人数がいたような……」


「じゃぁ、また野盗が来るんじゃないのか?」


「コイツらを人質に戦いますじゃ」


(人質にって……本当にたくましいな)


「……若い男も結構いるみたいだからか」


 追い剥ぎにいそしんでる連中を見ると、体格も良いし野盗に対抗する戦力として十分ってことか。


(いや、それなら最初から戦えよ……)


 どっちにしろ俺達には関係ない。

 武器や防具も手に入ったみたいだし、野盗がきても大丈夫だろう。


「そうか、がんばれよ」


 俺はそう言って、その場を立ち去ろうとしたのだが――


「待ってください!

 村を救っていただいた方々に恩を返させて欲しいのですじゃ!」


 村長に引き留められた。


「気にしないでいいよ」


 レイラ達も待ってるし、食事に遅れたら怒られる。


「そう言わず、向こうにワシの家がありますので、来てほしいのですじゃ」


 村長が懇願してくるし、どうしたものか……


「そうですよ、是非、向こうの村長の家に!」


 追い剥ぎが終わった連中からも声が上がる。

 義理堅い人達なのかな?


「ノガミさん、どうします?」


 ルファスも困ってるみたいだし、サッと行って早く戻るか。


「……そしたら、ちょっとだけですよ」


 そう言うと、村長達の顔がパッと明るくなった。

 村の人達の願いを聞く。

 こういうのも人助けの一環なのだろう。 


 俺とルファスは村長達に案内され村長の家へと向かうことになった。


 だが、


 その結果が、あんな事になろうとは今の俺には思いもよらなかった。

野盗を撃退したが、怪しい村だな。

いやいや、それは俺の偏見かもしれない。

お礼をしたいって義理堅い人達をそんな目で見ちゃいけないよな。

……でも、怪しいんだよなぁ。

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