第105話 草原の宴会
ドライブ楽しぃー!
やっぱ旅行は良いねぇ。
空気も良いし、嫁さんは可愛い。
楽しい仲間も一緒、言うことなしだぜ。
草原を軽快に走る軽キャンピングカーとキャンピングカー。
どこまでも続く緑の海原。
風が横から抜けていくたびに、草が波のように揺れて広がっていく。
とてつもなく広い。
走っても走っても草原が続く。
北海道でも、こうは行くまい!
……行ったこと無いんだけどね。
俺は運転しながら景色を眺めているだけで楽しいが、みんなはどうだろう?
草原を、ただひたすら走っているだけだし、異世界の人間からしたら見慣れた風景なのかもしれない……
家族や仲間が退屈していないだろうかと、不安が胸をよぎる。
(俺のワガママに、みんなを巻き込んでるだけなんじゃないのか?)
モヤモヤと不安。
兎に角、前進あるのみ!
と、その前に休憩すっか。
みんなも疲れてきた頃だろう。
「ルファス、お昼も近いし止まるぞ」
『休憩ですか? わかりました』
魔導リングからルファスの声が響く。
(離れてても会話出来るって、本当に便利だな)
俺はウインカーをつけて後ろのルファスに合図を送り、ブレーキをゆっくり踏んで軽キャンを停車させた。
「レイラ、プロム、ミロース、ちょっと頼めるか?」
嫁達に声をかけていると、ルファスのキャンピングカーが隣に停車した。
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「ルファス、みんなを集めてもらえるか?」
キャンピングカーの運転席から降りてきたルファスに声をかけ、俺は軽キャンのサイクルキャリアにつけてあるアイテムボックスからテーブルや椅子を取り出し昼食の準備に入る。
嫁さん達も手伝ってくれて、食卓の準備はあっという間に整った。
「人手があると、やっぱ楽だね」
全員が椅子に座ったのを確認したので、俺は立ち上がる。
「みんな、出発してからここまで疲れただろう。
俺の提案に乗って着いてきてくれて、本当にありがとう」
俺は、みんなに頭を下げた。
突然そんなことを言ったせいか、みんながキョトンとしている。
「……いや、本当に感謝してるから、それを伝えただけなんで驚かなくていいよ」
普段から結構みんなに感謝しているつもりだったが、こんなリアクションされるって事は、伝わってなかったって事か。
軽くショックだが、自分が悪かったんだろう。
これから直していけばいい。
そんなことより、
「まだ日が高いが、今日の移動はここで終わろう。
そして、宴会しようぜ!」
慰安のため、宴会を提案した。
(似たような風景がずっと続く草原走ってて、みんな退屈しているんじゃないかって不安な気持ちのまま運転するのも嫌だし)
本来なら今日はもっと走る予定だったが、ゆっくり行こう。
焦ってやる行動はロクな結果につながらないに決まってる。
休み休み行けばいいんだ。
……だよな?
俺はみんなの反応を伺う。
「宴会だぁ! ィヤッホー!」
ウィズが飛び上がって大喜び。
「別に急ぐ旅でもないしね」
レイラが俺に優しく笑いかけてくれた。
「僕とキャスカは、お任せしますよ。
それでいいね、キャスカ」
「私は、お兄様に従いますわ」
キャスカがルファスを見つめて答えた。
何故、頬を染める。
バンとライカがイチャイチャしていて聞いてたのか知らんが、参加でいいな。
「ヒロシ様、それでは宴会の準備に入りますね」
プロムが仕事モードの顔になった。
いつも助かるし頼もしいのだが、
「プロム、みんなで準備しよう」
俺はプロムの手を握り言った。
プロムの潤んだ瞳、とてもキスがしたいが、レイラとミロースの視線が痛い。
「まだ時間も早いですし、みんなで準備するのも楽しいですよ」
「お料理のお手伝いして、覚えたいですぅ。
カイ、そしたらおいしい物、家で食べれるからね」
「フィリーの料理はどれも美味しいよ。
そうだ!
フィリーの料理を食べれないみんなの為に何か作ってあげたらどうかな?」
「もう、カイったら。
恥ずかしいですぅ」
カイとフィリーのイチャイチャを見ている方が恥ずかしいけどな。
「みんな頑張って美味しいものを頼むぞ!」
「ウィズ、お客さんじゃねぇんだから、お前も手伝うんだよ」
勘違いしているウィズに注意。
「ウィズは家事が得意ですよ。
こんな顔してるけど、結構きれい好きですし」
オーガのユリスがウィズの意外な一面を教えてくれた。
流石、ウィズの嫁さんだ。
そして、俺たちの中で一番背が高く筋肉質でムチムチしていて素晴らしい。
顔も美形だし、ウィズがうらやま……いや、俺の嫁さんの方が上!
しかもレイラ、プロム、ミロースの三人もいるし、俺の勝ちだ。
いや、勝ちってなんだ?馬鹿か俺。
「よっしゃ、概ね好評のようだし、宴会することに決定ね」
みんな笑顔で答えてくれた。
良かった。
……ホッとしたぜ。
「そうと決まったら、ちょっと待ってろ!」
俺は軽キャンに走って戻り、家モードに変形させた。
家の冷蔵庫や食料庫から食材を外に持ち出す。
どうせなら盛大にやろう。
ウキウキしている俺に、レイラが声をかけてきた。
「家を出すんならテーブルや椅子を軽キャンから出さないで良かったんじゃない?
ほら、この家の中の食堂使っての宴会でも良かったんじゃない?」
俺も家を出した段階で気づいていたが……せっかく出したんだし。
「外でするから必要なんだよ!」
一応言い訳しておいた。
言い訳で言ったが、実際外でワイワイやるって楽しいんじゃない?
楽しみになってきた。
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パーティーが始まると、みんな本当に楽しそうで、
その姿を見るだけで俺は嬉しくなる。
仲良く楽しくが軽キャンクラブのモットーだからね!
俺達は大いに飲んで食べた。
そして日が落ちる頃には、楽しかった宴会が終わった。
酔いつぶれた奴、介抱する奴、いろんな奴がいる。
みんな、俺の大切な仲間で家族だ。
本当に俺は幸せ者だよ、ありがとう。
「さぁ、みんな! 最後に一仕事、片付けだ!」
楽しいことがあれば、めんどくさいこともある。
嫌な片付けだけど、みんなで力を合わせて頑張ろう!
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宴会の片付けも終わり、それぞれ家の自分の部屋に入っていく。
まあ、飲みなおしと食堂に行った奴もいるけど、どれだけ飲むんだ?
俺は自分の部屋に戻った。
ベッドに横になってボーッとする。
楽しいことの後は、なんだか寂しい気持ちになるもんだ。
「寝よっ」
布団を掴んで頭からかぶる。
コンコンッ
ドアをノックする音だ。
誰だろう?
「あいてるよ」
寝ながら答えて、もぞもぞと頭を入り口に向ける。
「ゴメン、もう寝てた?」
レイラの声だ。
布団を払いのけてベッドに座った。
スレンダーな美人タイプのレイラ。
柔らかい雰囲気と包容力(とくにその大きい胸が)のあるプロム。
小柄で可愛らしい見た目なのに誰より年上のミロース。
そんな俺の大切な嫁さん三人が寝る時の薄着で恥ずかしそうに立っていた。
家族にしか見せないプライベートな姿だろうね。
ゴクリッ
「夜は長いし、少し喋ろうか」
俺は、立っている三人を部屋に迎え入れて、ベッドに腰かけた。
寄り添って、静かに語り合いながら夜を過ごす。
今日は、長い夜になりそうだ。
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次の日、朝。
まだ暗いうちに俺たちは出発した。
昨日、親睦を深め楽しんだ俺達は、すこぶる気分が良い。
……他のメンバーも昨夜はそれぞれ楽しい時間を過ごしたのだろう。
「今日も、一日頑張っていこうぜ!」
草原をスピードをあげて進む。
障害物など見当たらないし、薄暗いが見渡しもいいし事故の心配もないだろう。
辺りが明るく光が差し込む。
朝日だ。
神々しいその光を浴びながら、軽キャンピングカーとキャンピングカーが草原を疾走する。
朝露が車に弾かれ、朝日を受けて煌めいていた。
キラキラと光る大地を、俺達はどこまでも突き進む。
疲れを感じたところで休憩し、綺麗な景色で立ち止まりながらも着実に進んだ。
そして――
久々の宴会でリフレッシュできたし、各家庭の親睦も深まったことだろう。
次回、人に会える気がする。
ずっと運転してても、俺以外つまらないだろうからな。
そして、いつも読んでくれてありがとう。
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それじゃ、次の話もよろしくお願いします。




