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軽キャンで異世界無双したおっさん、気づいたら国を作るんですか?やっぱり嫁がすきですね。  作者: カネキ
第10章 ウィズの嫁さん、俺の嫁さん編

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第101話 帰還と制裁

ゼノス王国に帰還したら、レイラとプロムからの制裁が確実にある。

無いわけがない。

新しい嫁を作ったのだから。

そういう悲壮感もあって、ミロースと燃えました。

 オーガの村を出発した俺、ミロース、ウィズ、ユリスの四人は、ようやくドラゴンの里へと帰還した。


 見慣れた景色。

 懐かしい空気。

 そして――


(さぁ、殺せ……!)


 俺は心の中で覚悟を決めていた。

 昨日、思い残すことのないようにミロースと愛し合った。

 ゼノス王国に着いたらレイラとプロムに殺されるんだと思うと恐怖で震えが止まらない俺を優しく抱きしめてくれるミロース。

 俺より全然小さいのに、ドラゴンの大きな愛で俺を優しく包み込んでくれた。

 もう、思い残すことなど無い……


 そんな俺の心境とは裏腹に、出迎えに来た仲間たちは――


 笑顔。


 レイラも、プロムも、キャスカも、カイも、みんな笑顔だった。

 まあ、ウィズに嫁さんが出来たって報告してあるからそうなんだろうけど、俺の件があるのに、レイラとプロム……


(……え、笑顔が逆に怖いんだが?)


「た、ただいま」


 ぎこちない笑顔で言ったのだが、


「ウィズ、お帰り!」


 あれ?

 レイラ?


「あなたが、ユリスさんですね」


「ああ、ルファス、仲良くしてやってくれよ」


 なんか、レイラに無視された気がしたが……

 気のせいだな。

 流石ルファス、気がきくぜ。

 そして、何故俺を見ない?


「ミロース、お疲れ。

 これを着て」


 ドラゴンの姿から少女の姿に戻ったミロースにキャスカが服を渡していた。


「お、ミロース、かわいい服をもらったな」


「ミロース、この服は私のお古だけど、あなたにあげるね」


「ありがとう」


 俺に背を向けるキャスカがミロースに言ってた。


 うん。

 無視されてない?


(いや、これはきっと……俺を見ると照れちゃうパターンだな?

 俺、人気者だからな……うん……うん?)


 ハハハハハ……安心した。


 そんな訳があるか!


 どう考えても避けられてるだろう、俺!


 俺の背中に冷たい汗が流れる。


 引きつる笑顔の俺と対照的にウィズは嬉しそうだな。

 感極まって泣いてるし……俺は違う意味で泣きそうなのだが。


 恥ずかしそうにしているユリスの手を引いてウィズが前に出た。


「みんな、グスッ……出迎えありがとう!

 彼女が嫁さんになってくれたユリスだ!」


 ウィズが泣きながらユリスを紹介する。


 ユリスは大きな体を小さく丸め、控えめに前へ出た。


「あ、あの……初めまして。

 オーガのユリスです。

 ウィズを支えて、みなさんに迷惑をかけないよう頑張りますので……よろしくお願いします!」


 深々と頭を下げるユリス。


 その姿に、キャスカが優しく笑った。


「そんな、かしこまらなくて良いよ!」


 俺には厳しいのに優しいな、キャスカ。


「そうだ! 仲間じゃん」


 カイが続ける。


「おめでとう、ウィズ」


 レイラが涙を流し、


「仲良くしましょうね」


 プロムが微笑む。


 レイラ、プロム、ルファス、キャスカ、カイ、フィリー、バン、ライカ、ヘリウス、ミロース、そして俺。


 みんながウィズとユリスを祝福した。


 温かい空気が流れる。


(……いいなぁ。素直に祝福できる。二人には幸せになってほしい)


 そう思った直後――


(……では、次は俺か)


ゴクリ……


 俺は喉を鳴らした。

 口の中が乾いていく。

 先送りにしても同じだ。

 それなら、この祝福ムードのどさくさに紛れて謝れば俺への制裁もうやむやにできるんじゃねぇか?


 よし!


「あの……」


 俺が切り出そうとした瞬間。


「ミロース、来てくれ」


 レイラがスッと前に出て、ミロースの手を取った。


 え?

 俺じゃなくてミロース?


 呆然と見ていると、プロムが俺の横に来て、にっこり微笑む。

 なんだよ、やっぱり俺の気のせいか。

 そんなに怒らせてなかったみたいで安心した。

 ビビらせやがって、今夜かわいがってやるから――


「ヒロシ様、後で」


(後で……? 何を……?)


ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ


 尋常じゃない震えに襲われた。


「あ、後、あ、後でって」


 壊れた俺を残し、そのまま二人はミロースを連れて歩いていった。


 俺は――



 気絶した。




「はっ!」


 目を開けると……

 どうやら俺は立ったまま気絶していたらしい。


 誰もいない。


「……放置ですか」


(どれくらい経った? 5分? 30分? 1時間?)


 軽キャンの方へ歩くと――


 レイラ、プロム、ミロースの三人が笑い合っていた。


(……え? なんか、めっちゃ楽しそうじゃん?

 怒ってなかったの?

 なんだよ。

 俺、考えすぎだった?)


 近づくほどに、俺の心は軽くなっていく。

 時間が、解決してくれたんだ!


「おーい、みんなー!」


 手を振って走る俺。

 あっ!

 気づいてくれた。


「ああヒロシ、ちょうど良かった。

 ミロースに第三婦人になる心構えやルールを伝え終わって、呼びに行くところだったんだよ」


 レイラが可愛く言った。


「おお、そうか、そうか」


(やっぱレイラは可愛いのう……)


 微笑ましい話に頷いて、第一婦人、第二婦人を慰労する夫の俺。

 仲良い事は良い事だ。

 うんうん。



ガシッ!


「じゃ、行きましょう。ヒロシ」


 レイラが俺の手を掴む。


「へ?」


 そのまま森の中へ。


(そうか……俺がいなくて寂しかったってか?

 部屋まで待てないって事?

 ったく、しょうがねぇなぁ……)


 いやらしい妄想をしながら歩く俺。




 静かな場所に着いた瞬間、レイラが抱きついてきた。


(ほうら、来た。

 フフフ、可愛がって――)


 俺が笑顔になった瞬間――


ドスッ!


「ぐふっ!?」


 レイラの膝が俺の腹に突き刺さった。

 肺の空気が一気に排出される。


「これは、プロムの分」


 耳元で囁くレイラ。

 何を言って?


 俺は膝をつき、呼吸ができない。


「カ、カ…ハ……」


 声も出ない。


(こ、殺される!)


 逃げようと這う俺の背中に――


ドカッ!


「どこに行くの?」


 レイラが冷静に言う。


(逃げるんですよ! 殺されるからぁ!)


 なんだ、進めない。

 足?

 踏まれてるのか?


ガッ!


 レイラは俺を片手で持ち上げ、拳を握る。


(あ、これ遺書書く暇もないやつだ……)


「……これが、私の分だ」


ヒュッ!


 拳が消え――


「ゥグ!」


 頬にめり込む。

 体のどこかで嫌な音がした気がした……


(これが…… 死? )


ドガァアアーーン!!


 俺は吹っ飛び、木に激突した。


 視界が暗くなる――


(あ、これ死んだな……)




「反省した?」


 レイラの声が聞こえる。


ビチャビチャビチャ……


(しました反省。十二分に反省しております)


 声が出ない。

 顎が完全に破壊されているためだろう。

 体中の骨もいつものように砕けているから動かないんだろうな。


 冷たい液体がかけられ、口に入る。

 力が湧く。

 回復薬か……


 目を開けると――


 レイラが俺を抱きしめていた。


「おかえりなさい……ヒロシ」


 その表情は怒りではなく、安心と愛情が混ざったものだった。


 ミロースを嫁にした事に対して後悔など頭になかったが、俺は胸が熱くなった。


 帰ってきたんだと実感できた。


「ただいま。

 ミロースの件で心配かけちゃったな、レイラ。

 だけど、謝らないから……

 レイラの事を愛している気持ち、何も変わってないからね」


「……うん」 


 俺たちはしばらく寄り添い、互いの気持ちを確かめ合った。



 レイラがふらふらしながら服を着て立ち上がる。


 俺は横になり、余韻に浸りながら目を閉じかけ――


「ヒロシ様」


 プロムの声。

 レイラとは仲直り出来たが……


「ヒィッ!」


 また、殺されかけるのか?!


 目を開けた瞬間、口に瓶を突っ込まれた。


「ガボラ!」


 回復薬が流し込まれる。

 こ、殺される!


 窒息で死にそうになるのを回復していくので死なないが、苦しみだけが延々と続く。


 息ができるようになった時、目の前にはプロムがいた。

 レイラの姿はどこにもない。

 プロムを邪魔しないように家に戻ったのだろう。


(回復させといて、制裁のsecondシーズンですか?)


 俺は目を閉じ……諦めた。


(……よし、覚悟はできた。来い……!)



 ……来ない。

 来ないぞ?

 あれ?

 ……攻撃は?


 恐る恐る目を開けると、目の前にプロムの顔があった。

 なんで――


「寂しかった……ヒロシ様」


(……あ、生きてた)


 潤んだ瞳で言うプロム。


 俺はプロムに抱きしめられ、しばらく寄り添った。


「プロムも不安にさせたな、ゴメン。

 ありがとう。

 いつも感謝しているからな。

 俺たちの中でお前が一番しっかりしてるからって甘えてばかりだよな。

 家族が増えたんだから、レイラやミロース、それに俺もいるから、甘えていいんだからな」


「私は……

 私は、本当にわがままなので、ヒロシ様の一番は自分だと思っていますから。

 ヒロシ様に一番甘えさせていただきますからね」


 プロムが抱き着いてくれた。

 凄い胸で手が俺の背中に回るか心配したが、やわらかいし大丈夫でした。


「……プロム」


 俺は、プロムにキスをした。



 レイラとプロムという強敵を相手に回復薬ドーピングで立ち向かう無茶をした俺はフラフラだ。


 だが、家族の元に帰ってきた。


(家族を守るために、これからも頑張ろう。

 レイラとプロムの2連戦でフラフラだから、明日からな……)


 そう思いながら、


「……駄目だ、ちょっとここで寝てから、家に帰ろう」


 そのまま森の中で俺は静かに眠りについた。

生きてる。

俺の回復薬は素晴らしいし生きてるのも素晴らしい。

制裁を男らしく黙って受けた俺。

そんな俺への好感度がストップ高ってのは当然として、ウィズに嫁さんが出来た事によって、俺たち冒険者パーティ『軽キャンクラブ』のメンバーすべてにパートナーが出来ましたよ。

やっぱ、主人公だけがモテモテで回りが全然結婚も彼女もいない人間で主人公の引き立て役になるのはダメだからな。

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