第24話 夢:(6/11)
「終わったぜ! ショーンの兄貴!」
「あ、カイト君おかえり」
「なあなあ、見てたかよ! さっきめちゃめちゃ強そうなモンスター出てきて一撃じゃ倒せなかったけど、なんとか一人で倒したんだぜ!」
「そ、そっか。ごめん凄すぎて見てなかったよ」
「ええー!? マジかよ見ろし! でも、結構な数のモンスターを倒したから俺かなりレベルアップしてるんじゃないかな?」
「レベルアップ?」
「そう! こういうゲームみたいな世界って、敵を倒すと経験値入るじゃん! ああああ! 何でこの世界はステータス見れないんだよ! もしかしたら99レベルとかでカンストしてるかもしれねぇし! そしたら意味ねぇよ!」
これはゲームの世界ではなく、夢の世界だからだよ。と、心の中で呟くショーンであった。
「そう言えばショーンの兄貴、ウサギと何話してたんだよ……なんか画面がウサギの顔になってるけど!?」
ウサテレを見たカイトは驚愕する。彼が言った通り、ウサテレの画面がいつも通りの顔文字になっていたのであった。
「(・×・)」
「ま、まあ、ちょっと事故があってね……」
「事故?」
「ははは……」
首を傾げるカイトに、ショーンは笑って誤魔化す。すると、ようやく映像が映し出された。
「おう! 待たせたなジャップボーイ!」
画面には、頭がさらにボサボサで埃まみれになったデーブの顔がデカデカと映し出される。
「ぶははははは! 何か変なデブが……ムグッ!?」
画面を指さして笑うカイトの口を無理矢理押さえるショーン。
「あ? 今このクソガキ、俺のことデブって……」
「い、言ってませんよ! や、やだなあブラウンさん! ははは!」
血管を浮き上がらせかけたデーブをショーンは必死に宥める。
「……ふぅ。まあいい、それじゃあジャップボーイ。話をする前に少しばっかり条件があるんだ」
正気に戻ったデーブから話を持ちかけらていく。
「条件ですか?」
「ああ、凄く簡単だ。俺様達に今後協力してほしいんだよ」
思ってもいなかった言葉に、ショーンは驚きもう一度聞き直した。
「協力? 協力って貴方達にですか?」
「そうだぜ! ジャップボーイは俺様程じゃないが戦闘力はある。主に俺様達のサポートと情報提供をしてほしいのさ! そうすれば俺様達も話せる範囲で情報提供してやるってことさ!」
「交渉……ですか」
デーブの提案にショーンは少し考え込む。
彼の表情を見て、デーブはニヤリと口元を歪める。
「どうだ? 悪い話じゃないはずだ。俺様達もお前も、水瀬エリを助けたい。互いの情報を知りたい。今まであやふやだったが、これからはお互いの目的と利害が一致した関係となる。どうだ? パーフェクトな提案だろ!」
「……」
何か釈然としないのだが、ショーンが突っ込める部分が今のところ見つからない。更にデーブは付け加える。
「分かる! お前の考えてることはよーく分かるぞジャップボーイ。お前は俺様達のことを得体の知れないサイエンス集団ぐらいに思って信用はしていないんだろ?」
「まあ……あながち間違えではありませんけど」
「なら、お互い割り切った関係にしようぜってことさ。これはビジネス。利害のある関係って方がまだ信用出来るだろうってこった。それともジャップボーイは、この奇想天外な夢世界を一人で乗り切ろうとするチャレンジャーなのかどうかだ。ん?」
ショーンはしばらく考えるが、反論するところが特に無いので頷くことにした。
それを確認したデーブは、画面の中でガッツポーズを見せる。
「ウェーイ! 見たかよミス・ユリエ! これが俺様のネトゲーでつちかった巧妙な話術よ! ジャップボーイとの連携が取れるようになったのは俺様の功績だぜ!」
「はいはい分かったわ。ちゃんと私から補足を付け加えるわね」
喜ぶデーブを押しのけ、今度は呆れ顔のユリエが現れる。そして画面越しにショーン達へ語りかけてくる。
「水瀬君。まずは協力関係を結んでくれてありがとう。今まで貴方には不信感を抱かせていたかもしれないわね。今更になるけど謝るわ。ごめんなさい」
「い、いえ、不信感という程のものでは……」
「いいえ、私が答えを急ぎすぎていたところがあるのよ。水瀬君の配慮していなかったのは事実」
頭を深く下げるユリエに、ショーンは戸惑う。更に彼女は続ける。
「今まで私が一方的に聞いて、貴方からの質問には答えないってパターンが多かったわね。私達の所有する機密情報に触れる内容が多かったからなのだけど……だからこれからは、貴方自身も答えたくないことを聞かれたら無理して答えなくていいからね? それだけは言っておく」
「……また急に優しくなりましたね。どういう風の吹き回しですか?」
「答えたくないというのも、答えの一つとして解釈している節はある。でも、一番は今までの自分の行いを反省しているのよ。エリちゃんの病気を解明したいという思いは本当だから。それは信じてほしい」
テレビ越しにいるユリエの真剣な表情に、ショーンはまたしても溜め息が漏れた。
「……わかりました。改めて言いますけど僕も貴方達に協力しますし情報提供もします。その代わり僕の質問にもある程度は答えて下さいね」
「ええ、分かったわ。もう黙っていたりしない。機密に触れる時は話せないとちゃんと言うわね」
それも困るんだけどなとショーンが漏らすと、今まで口を塞がれていたカイトが彼の腕を振り払う。
「ってことはさ! このウサギも俺達の仲間になるってことか?」
「おうよジャップキッズ! せいぜいチビらない程度にな! 俺様の足だけは引っ張るなよ! ハッハッハ!」
「うるせえよ! お前だって、さっき俺の最強チート魔法に巻き込まれそうになってたんだぞ! パソコンばっかりやってないで、ちゃんと運動しろよこのデブ……ムグッ!?」
カイトの言葉を遮るように、ショーンは彼の口をまた押さえた。
「……今、このクソキッズ……俺様のことをデブって……」
「い、言ってません言ってませんよブラウンさん! そんなことより、さっきの続きを話して下さい。ファーストとかセカンドの意味を教えて下さいよ!」
「そ、そうよね! さあ、早く話しましょブラウン!」
ショーンとユリエに急かされたデーブは、渋々話し始めた。




