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【挿絵有り】ドリーム★コネクターズ ー不幸少女と空想少年ー  作者: バンブー
RPG世界編

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第22話 夢:(4/11)

「へー、ここは夢の世界で、ショーンもここに異世界転生してきたんだ。しかも水瀬の兄貴だったんだな。アイツに兄貴がいたなんて知らなかったぜ!」

「あー、うん、一応僕の本当の名前は水瀬ショウって言うんだ。改めてよろしくね。一条君」

「おう! 俺のことはカイトって呼んで良いぜ!ショーンの本当の名前は水瀬ショウね! でも、面白いからショーンって呼んで良いか?」

「う、うん、もう別に良いよ……」

「よっしゃ! よろしくな、ショーンの兄貴!」


 二人が改めて自己紹介をした所で、敵が居ないか周囲を確認しつつ森の中を突き進んでいく。ここはミナセ王国と魔王城の間に位置する始まりの森と言われている場所であった。

 彼等は腐葉土と枯れ枝を踏みしめながら、木々の間から見える魔王城へと近づいていく。

 ふと、ショーンは言葉を漏らす。


「それにしても、馬車ぐらい用意してくれても良かったと思うんだけどな……森は足場が悪くて馬車は無理って……」

「良いじゃん良いじゃん! 凄い旅してる感があってさ! すぐ終わっちゃったら面白くないだろ?」

「面白いかどうかじゃなくて、早くエリちゃんを助けないといけない訳だからさ。相当ゴネたのに出してくれないなんておかしいよ……仮にも自国の王女様がさらわれたんだよ」


 ショーンの言葉に、カイトはやれやれと首を振る。


「ショーンの兄貴は真面目過ぎて面白くないな~、それじゃ冒険がすぐに終わっちまうだろ?」

「だから、面白いとかの話じゃないんだってば! 遊びでやってるんじゃないんだ!」

「水瀬なら大丈夫だって! アイツ、ケンカなら誰にも負けねぇからさ! 俺もギリギリの差でボコボコにされるぜ!」


 中学生のショーンが勝てないのだから、小学生で同学年のカイトがエリに力で勝てる訳がない。しかし、現実世界で無類の強さを振るうエリなのだが、どういう訳か夢の中では力を発揮しない。

 いつも守られる側で、ショーンやウサテレそれとモエカなどに守られていた。

 何か意味があるのだろうかと考えてしまう。

 心配しつつも、この気持ちをカイトにぶつけるのはお門違いだと思い自粛する。

 気持ちを切り替え、違う話題をカイトへ振ることにした。


「……そう言えばカイト君。エリちゃんと同じ学年なんだっけ?」

「おう! 同じクラスだぜ!」

「そっか、尚更都合が良いや。よく遊んだりするの?」

「いいや、遊んだりしねぇよ。アイツ、俺のこと嫌いみたいで凄い避けられてるんだ! 昔はよく話したんだけどな」

「え!?」


 カイトとエリの関係性を知りたかったショーンだが、あまり聞きたくない内容が返ってきてしまった。


「その……ごめんよカイト君。うちのエリちゃんが……」

「謝んなくて良いよ! 別に俺は、アイツのこと嫌いだとか思ってねぇしな!」

「じゃあ好きなの?」

「す、すす、好きじゃねぇし!? ふざけんな! 誰があんな奴のことなんか……」


 耳まで顔を赤くしてゴモゴモと言葉を濁すカイト。その反応を見て何となく彼等の関係性は見えてきた。少なくともカイトはエリと関わりのある人物であり、この夢の世界に呼ばれて来たのである。

 ドリーム・コネクターズのデーブが言っていた、このエリの見る夢の世界に……


「そうだショーンの兄貴! この夢が覚めたら、水瀬に早く学校来るように言ってくれよ!」

「え? 学校?」

「ああ! アイツ新学期になっても学校に来ないんだよ。風邪とか引いたことないし、先生も誤魔化して本当のこと答えてくれないんだ」

「ちょっと待ってくれ!」


 歩みを止め、ショーンはカイトへと向き直る。


「今、君はなんて言った? 新学期って言わなかったかい?」

「え? ああ、そうだけど?」


 目が覚めそうな程、強烈な衝撃と不安がショーンに押し寄せてくる。


「夏休みが終わったの? 小学生ってそんなに夏休みが終わるのって早いの?」

「は? だって今1月だぜ! 夏休みどころか冬休みが終わっただろ?」

「え!? い、1月!?」

「大丈夫かよショーンの兄貴?」

「カイト君……今って8月じゃないのかい?」

「はぁ!? 何言ってんだよ、ちげぇし! 今は1月だよ! 水瀬は去年の夏休みが終わってから来てないんだって! もしかしてギャグで言ってるのか? ショーンの兄貴」


 噛み合わなくなっていく。

 ショーンとカイトの間で認識に、約半年近くの時差が生じていた。

 ショーンの思考がグルグルと周り硬直している中、アハハとカイトが笑い飛ばす。


「まあ、良いじゃん! どうせこれも夢みたいだしさ! 気にしないようにしようぜ!」

「いやいや……だから、そういう訳には……」


 少年二人が再び議論を起こそうとしていた。その時だった……



「ゴブゴブ! コブコブ、コブコブ!」

「や、止めなさい! 貴方達離しなさい!」



 ゴブゴブという鳴き声と、助けを呼ぶ声が茂みの奥から聞こえてくる。


「ショーンの兄貴! 今助けを呼ぶ声が!」

「う、うん、聞こえた! でも何か聞き覚えがある声だったような……」

「これ、間違いなくイベントクエストだぜ! 早く助けに行こうぜ!」


 早くエリを助けに行きたショーンであるが、悲鳴を無視して先に進む訳にもいかず、声のする方へと向かう事になった。

 茂みを掻き分けて行くと突然、少年二人の横をオレンジ色で棒状の何かが飛んでいった。


「うお!? な、何かニンジンみたいなのが飛んでいったぞ!」

「ニンジン……まさか!」


 急いでニンジンが飛んできた方向へ走ると、その事の起きた現場を目撃する。


「貴方達、いい加減にして! ウサテレはどう見たって食べられなでしょ! ちょっとブラウン! ブラウンはまだなの!? え、まだトイレに籠もってるの!?」

「ゴブゴブコブコブコブ、コブ!」


 そこには、ファンタジー世界に登場する緑色の肌をした妖魔ゴブリンの姿があった。


「スゲェ!? ショーンの兄貴! ゴブリンだぜ、ゴブリン! 本物だ!」

「シッ! カイト君、静かに……」


 ゆっくりと近づいていく。

 するとゴブリンは5匹ぐらいで焚き火を取り囲み、何かを焼いているように見える。

 更に近づくと、焚き火の上には枝にツタで括り付けられた哀れなウサテレが居たのだ。


「うう……これじゃあ、あの子達に会う前にウサテレが壊されてしまうわ……」


 悲痛な表情と声を上げるウサテレに映し出されるユリエが見えた。

 今にでも助けたい気持ちに駆られるショーンだが、ひとまず冷静になって辺りを確認し状況を確認する。

 ゴブリンは全部で5体。

 その他に隠れていないか辺りを見渡すが、特に気配を感じなかった。確認を終えた後、ショーンは息を吐く。


「辺りに敵は潜んでないみたいだ。ここは奇襲を……」

「兄貴! ここは任せろ!!」


 おもむろにカイトは大声を上げ、草むらから体を晒し出す。

 それにゴブリンも当然の事ながら気づき、彼に視線が注目する。


「カ、カイト君!? いったい何を!?」

「良いから見てな! 俺の新しい必殺技を!」


 カイトが手を掲げ太股に書かれた[閃光]が輝く。青い天が一瞬の瞬き、一本の光の柱が地面へと向かっていく。


「くらえ! セイクリット・ハンマアアアアアア!」

「ああ! ちょっと待っ……」


 彼が技名らしいものを唱えると、ゴブリンに向けて天から光の柱が突き立てられる。


「「ゴブー!!」」


 強力なエネルギーの衝撃にゴブリン達は四方に吹っ飛ばせれていった。


「よっしゃー! 俺つえええええええええええ! 見たかよショーンの兄貴! 一撃で倒したぜ! ……あれ? 兄貴?」


 カイトは横に居たはずのショーンへ向くがそこにはいなかった。


「カイト君……ここだ!」


 光の柱の爆心地より更に奥、草むらの陰が体を出した。

 ついでに木で括り付けられていたウサテレも担いでいる。


「貴方は……水瀬君? やはり貴方もここに居たのね!」

「ええ、ユリエさん。間に合って良かったです」


 ショーンの右手に浮かび上がる[剣心]の文字は消えていく。

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