第7話 — 「死の訪れ」
「王に伝えろ」 ヴァレリウスは戦闘用の兜をかぶった。その声は冷たく、感情を一切感じさせなかった。
「死が訪れようとしていると。」
雷鳴がマスターの怒りに呼応するように轟いた。空もまた、彼の胸に燃え盛る復讐の念とともに泣いていた。
復讐心と怒りがヴァレリウスの胸に流れ込んだ。街の空気は一瞬にして緊迫し、まるで大災害が訪れようとしているかのようだった。住民たちは恐怖におののき、気を失う者まで現れた。一歩一歩、彼はさっき収容所で見た光景を思い出しながら歩いていた。
ドタッ… ドタッ… ドタッ…
ヴァレリウスは足を止めた。王宮の兵士たちが彼の行く手を遮っていた。
「この奴隷どもが… 気に障る。」 ヴァレリウスは顔を上げた。
兵士たちの後ろから将軍が姿を現した。
「下がれ! 将軍様が通られるぞ!」 一人の兵士が叫んだ。
「カポッ… カポッ… カポッ…」 馬の足音が響いた。「王の名において命じる! ヴァレリウス、退け!」 マヒト将軍が退却を命じた。
ヴァレリウスは将軍を冷たく睨みつけた。その目は怒りで真っ赤に燃えていた。
「愚かな者どもが… 俺を舐めている。」 彼は自分自身にささやいた。
「お前たちが退け!」 ヴァレリウスは怒号を放った。
「もしこれ以上俺の道を塞ぐなら、お前たちの命は保証しない。」 その脅しは、ヴァレリウスを取り囲んでいた兵士たちの一部を震え上がらせた。
「あれはヴァレリウス様じゃないか? マスター・オブ・オールだ!」 何人かの兵士が彼だと気づき、互いにささやき合った。
「下賤な異世界人め! もう一度言う、退け!」 将軍はさらに声を張り上げた。
ヴァレリウスは戦鎚を地面に叩きつけた。地面に亀裂が走り、衝撃波が兵士たちの陣形を揺るがした。
「まったく… 愚か者どもめ。」 ヴァレリウスは笑った。「はははは!」 彼は自分でも彼らが愚か者なのか、それとも別の何かなのか確信が持てなかった。
将軍は感情的に怒鳴った。「下賤な異世界人が!」
その言葉にヴァレリウスの魂が震え、復讐心がさらに燃え上がった。
「よし… お前たちが望んだことだ。」
「血の雨を降らせてやろう。」
ラッパが吹き鳴らされ、攻撃の合図が送られた。
「全軍、突撃せよ!」 将軍が叫んだ。
全軍が、雨に濡れた街の中央に一人立つヴァレリウスへと殺到した。
「ガキン! ガキン!」 剣と戦鎚が激しくぶつかり合う音が、雨音に混じって響いた。雨がヴァレリウスの全身を濡らしたが、戦鎚の振りの速さは少しも衰えなかった。
兵士たちは一人また一人と吹き飛ばされ、まるで子供が投げた石のように転がっていった。街は静まり返り、武器のぶつかる音がその日の音楽となっていた。
馬たちは恐怖で叫び声を上げ、数人の兵士を振り落とした。
「おい! 大人しくしろ!」 一人の兵士が馬をなだめようとした。
しかし、ヴァレリウスの戦鎚はすでにその兵士の体を捉えていた。兵士は気づかぬうちに近くの建物に叩きつけられていた。
ヴァレリウスの行く手を阻もうとする兵士たちに、次々と戦鎚が振り下ろされた。誰一人として容赦はしなかった。すべてを破壊した。
「ハアアアッ!!!」 兵士の雄叫びは、戦鎚の一撃とともに消え去った。
まるで雷のように、一振りごとに兵士が一人倒れていった。
「将軍… あれには勝てません!」 恐怖に震える兵士が叫んだ。
「不可能だ! 突撃しろ!」 将軍は怒りながらその兵士を殴った。
しかし、その兵士の言う通りだった。ヴァレリウスの戦鎚の振りは、まさに天からの稲妻のようだった。
「まだ挑むつもりか?」 ヴァレリウスは血に染まった顔で将軍を見据えた。
彼は一切の障害をものともせず、まっすぐに進んだ。「かかってこい、愚か者ども!」 ヴァレリウスが叫んだ。
数人の兵士が恐怖のあまり逃げ出し、失禁しながら撤退した。
「もう無理だ!」 圧倒的なオーラが、ヴァレリウスを阻むすべての兵士を蹴散らした。
将軍は、自軍が散り散りになるのを見て慌て始めた。
「逃げるな! 裏切り者どもめ!」 将軍は叫んだ。
「はあ… 王国軍もここまで弱かったとはな。」 ヴァレリウスは戦鎚に付いた血をぬぐった。
将軍は馬から降り、腰の剣を抜いた。
「この反逆者め! 王国に逆らうとは!」 将軍はヴァレリウスに剣を向けた。
将軍はヴァレリウスに向かって駆け出し、剣を振り下ろした。
「死ねえッ! オーベルハウ!!!」
「ガキィィン!!!」 剣はマスター・オブ・オールの盾に阻まれた。
「どけ。」 ヴァレリウスは復讐と嫌悪に満ちた表情で言った。
その表情を見た将軍は恐怖に凍りつき、顔面を青ざめさせた。退こうとした瞬間、ヴァレリウスの戦鎚が将軍の胸をとらえた。
「しまった…」 将軍は心の中でつぶやいた。
「ドオオッ!!!」 将軍は後方へ吹き飛ばされ、建物に激突した。
「愚か者め。」 ヴァレリウスはつぶやいた。
ヴァレリウスは再び王宮へと歩き出した。まるで移動する山のように、彼は通り過ぎるものをすべて粉砕した。破壊は絶対的だった。まさに戦の神のごとく、トータル・デストラクション は彼のパッシブスキルだった。
そして王宮の門の前に到着すると、彼は戦鎚を門に叩きつけた。
「ドオォォン!!!」 木製の門は巨大な岩にでも当たったかのように粉々に砕け散った。
ヴァレリウスは玉座の間へと足を踏み入れた。怒りに燃える心のまま、彼は戦鎚を掲げた。
「デストラクター! この下賤な者どもを粉砕せよ!」 彼は戦鎚の名を叫んだ。
王はただ静かに座り、手を挙げた。
すると、二人のヴォルキル兄弟が現れた。
ザヒルとトルヴィンだった。
激しい戦いが始まった。
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その夜、ヴァレリウスはダダンを見つめながら物語を終えた。
「これでわかったか?」
ダダンは恐怖のあまり固まってしまい、何も答えられなかった。
「今はわからなくてもいい。いつかわかる時が来る。」 ヴァレリウスは指を鳴らした。
ダダンの視界が暗くなり、意識を失った。
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翌朝
ダダンはベッドの上で目を覚ました。
「昨夜の夢は何だったんだ…」 体は硬直し、筋肉痛に悩まされていた。
その時、昨夜の出来事を思い出した。
「うっ…」 吐き気が朝からダダンを襲った。
ダダンはベッドから起き上がった。部屋は静かで、窓から差し込む光だけが部屋を照らしていた。埃が光の中を舞っていた。彼はヴァレリウスの言葉を思い出し、この国で何が起きているのか考えた。
「ああ… まだ考える準備はできていない。」
ダダンはいつものように朝のルーティンをこなした。湯舟に浸かり、食堂で朝食をとり、訓練場へ向かった。
訓練場に着くと、その憂鬱な様子をザヒルが心配そうに見つめた。
「大丈夫か、若いの?」
「ああ… ただ、睡眠不足で。」 ダダンはいつものように気まずそうに笑った。
心の中でつぶやいた。「ああ… 昨夜のことは話さないほうがいいだろう。」
「ならば、武器を取れ。稽古を続けるぞ。」 ザヒルは微笑んだ。
日々の稽古が続いた。ヒカリもまた、稽古に参加していた。
ダダンの体は少しずつ強くなり、勇気も少しずつ身についてきた。
「そういえば、店が再開したみたいだ。アストンさんももう退院したようだ。」 ダダンが言った。
「そうか。気をつけてな。」 ザヒルは別れを告げた。
「失礼します。」 ヒカリも別れを告げた。
二人は一緒に歩き始めた。ヒカリはダダンに少し変化があることに気づいた。
「何か… 変わったね。」 ヒカリが言った。
ダダンはヒカリの方を向いた。「そうか?」 彼は微笑んだ。
「体が少し鍛えられたんだ。それが自信にもなっているのかもしれない。」 ダダンが言った。
二人は歩き、ついにアシュケラン百貨店に到着した。アストンが店先を掃除していた。
「よお、ダン! ずいぶん強くなったみたいだな。」 アストンは微笑んだ。
「ダン、あの馬車の荷物を降ろしてくれ。今朝届いたんだ。」 アストンは手で指し示した。
「了解です!」 ダダンは馬車へ向かい、いくつかの荷物を運び始めた。
その日、王宮の兵士たちが町を通過した。護送部隊が店の前を通り過ぎた。
ダダンは檻の中に数人の種族と、人間がいるのを目撃した。
「どけ!」 先頭の兵士が叫んだ。
一人の兵士が、ダダンが護送部隊を不審そうに見つめていることに気づいた。兵士はダダンに近づいた。
「何か用か?」 兵士が尋ねた。
ダダンは後退した。「いえ、何でもありません。ただ、兵士の行進を見るのが好きで。」 ダダンは言い訳をして、衝突を避けようとした。
しかし、彼は非常に緊張していた。なぜあれほど多くの人が一つの檻の中に閉じ込められているのか。しかも子供たちまでもが。
「おお、好きなのか? ははは、良い趣味だな。」 兵士はそう言い残して去っていった。
ダダンはようやく息を吐いた。一方、それを見ていたアストンはダダンの様子を心配そうに見つめていた。
「あの子に何があったんだ?」 アストンはつぶやいた。
彼はダダンに近づいた。「今日はもう十分だ。残りはビンガーとデモスに任せろ。お前は休んでいろ。」
「はい。」 ダダンは一礼し、その場を離れようとした。
「ちょっと待て。」 アストンが呼び止めた。
「はい、何でしょうか?」 ダダンは振り返った。
アストンは微笑んだ。「今日は一緒に昼食をとろう。俺のおごりだ!」
二人は食事を平らげた。
「ああ、美味しかった… ご馳走様でした。」 アストンは手を叩いた。
「さて、ダン。話したいことはないか?」 アストンは鋭い目で彼を見つめた。
ダダンはその質問に驚いた。「いいえ、何もありません。」 ダダンはどもりながら答えた。
「ヴァレリウスに会ったんだろ…」 アストンの視線はさらに強くなった。
ダダンはその眼光に耐えきれず、すべてを話すことにした。
「そういうことです。」 ダダンは説明を終え、喉が渇いたので水を飲んだ。
アストンは目を閉じてうなずいた。
「やはりな。」 アストンは目を開けた。
ダダンはその言葉に驚いた。「怒らないんですか?」
「ああ。」 アストンは微笑んだ。
しかし、その笑顔はすぐに消えた。「だが、これから先、俺はお前を守れなくなるかもしれない。」
ダダンはうつむいた。
「それで… この国で一体何が起きているんですか?」
アストンは一言だけ答えた。「いずれわかる。」
食事を終え、二人は店に戻った。
「カラン… カラン…」 「ただいま。」 アストンが店に入った。
レジに座っていたヒカリが冷たい口調でアストンを迎えた。「おかえりなさい、アストン様。お客様が何点かご購入されました。」 彼女は注文書を差し出した。
「おや、まとまった注文があったのか。」 アストンは眉を上げた。
「さて、皆の者。掃除を始めるぞ。この店はもう倉庫のようだ。」 アストンはため息をついた。
「はい!」 四人はそれぞれの場所の掃除を始めた。
武器庫やその他の部屋も含めて。
プラデモスが呼びかけた。「おい、ビンガー。こっちに来い。」
ビンガーが振り返り、呼びかけに応じた。
「どうした、デモス?」 しかし、ビンガーはいくつかの装備品がなくなっていることに気づいて驚いた。
プラデモスは昨夜誰かが侵入したと推測した。「どうやら泥棒が入ったようだ。」
「それで、誰がやったと思う?」 ビンガーは慌てて尋ねた。
「まずはこのことをアストンに知らせたほうがいいだろう。」 プラデモスは走って情報を伝えに行った。
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一方、ヒカリとダダンは錆びついた盾を掃除していた。ヒカリは弓の手入れをしていた。
「ところで、ザヒル先生のことはどう思う?」 ヒカリが突然尋ねた。
「ザヒル先生か…」 ダダンはあまり話したくなさそうだった。
「あんまり野蛮すぎるんだよ。」 ダダンは稽古を思い出して震えた。
彼の頭の中のザヒルは野蛮人そのものだった。「ははははは!」 ザヒルがダダンの頭の中で笑った。
ヒカリは被り物の中で微笑み、笑いをこらえた。「ふ—」 彼女はすぐに口を押さえた。
ダダンが振り返った。「どうかしたか?」
ヒカリは冷静を装った。「何でもない… ちょっと面白いと思って。」
ダダンは思った。「はあ… この女のことはさっぱりわからない。」
アストンはプラデモスから盗難の報告を受けていた。
「それで? 何がなくなった?」
プラデモスは首を振った。「ほとんどが素材です。ジルコニアの延べ棒や金属類が。」
アストンは眉をひそめた。「面白いな… どうやらこの街に素材専門の盗賊団がいるようだ。」 彼は紛失届を紙に書き記した。
彼はその紙をプラデモスに渡した。「これをアシュケランの警備本部に届けてくれ。」
プラデモスはそれを受け取った。「了解した。すぐに行く。」 彼は店を飛び出し、全力で走り去った。
ビンガーがレジの前でアストンに会った。「本当なのか?」
「ああ、ビンガー。今夜は店に泊まるぞ。」 アストンは仕事を続けた。
ビンガーはうなずき、自分の仕事に戻った。
「何年も動かなかった連中がまた動き出した… 何が起きようとしているんだ?」 アストンはつぶやきながら書き物を続けた。
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「ダン、私は終わった。アストン様が私を探していたら、トイレにいると伝えてくれ。」 ヒカリは一人でトイレへ向かった。
ダダンはそれを見送りながら、店の棚の掃除を続けた。
「アストン様! 終わりました!」 ダダンは棚の後ろから叫んだ。
「よくやった、ダン! 休んでいいぞ。」 アストンが答えた。
ダダンは昼食をとるためにレジの前に行き、アストンに許可を求めた。
ダダンはアストンに近づき、さっきの情報について迷った。「この情報は伝えないほうがいいだろう。」
「ああ、お前は休んで食事をとってこい。俺はまだ仕事がある。」 アストンは自分の財布から食事代を差し出した。
「はい、ありがとうございます。」 ダダンはそれを受け取った。
外に出ると、空は曇っていた。
「ああ、もうすぐ雨が降りそうだ。」 ダダンは店に戻った。
「店長、傘はありますか?」 ダダンはアストンに尋ねた。
アストンはレジの後ろから傘を取り出した。
「ああ、これを使え。」
ダダンはそれを受け取った。「ありがとうございます。それでは行ってきます。」 彼は店を出て、食堂へ向かった。
アストンは心の中で考えた。「俺はあの子を守れるのか?」
この美しい世界には、アストンが隠している恐ろしい現実がある。彼はダダンや他の子供たちの安全を願っていた。
しかし、真の恐怖はまだ始まったばかりだった。
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— 第8話へ続く —




